第27話 セーヤが語る、破壊と創造の舞の本質とは・・・

「ところで、かの“クベーラさま”はなぜテラにいるんだ? 

 ソラリス元老院の構成メンバーなんだろ? こんな辺境の星にわざわざ遊びに来るとは思えない。その目的を知っているから、お前が派遣されたのだろう?」


「上のお方は知っているのかも知れませんが、私は知らされていません。

 ただ、クベーラさまをこの星から出すな・・・、と云う命令でした」


「そして成功すれば、新シヴァ神になれると?」


「まさか! そんなことは言われていません。私だけでなく、今はシバ隊に所属する隊員は全員シバ神候補です」


「シヴァ神になりたくて、この仕事を引き受けたのだろう?」


「違いますよ。ヘルメスさまが珍しく現場入りする案件だと聞いたから、志願したんです」


「シバ隊の隊員にとって、シヴァ神になるのは夢なんだろう?」


「私がシヴァ隊に入ったのは、ソラリスに行けば、ヘルメスさまにまた会えると思ったからです。でもソラリスにヘルメスさまはいなかった。とてもガッカリしました」


「あの星はミュータントの官僚など、受け入れない」


「そのことを知らなかったから、宇宙連合の高級官吏に登用されたヘルメスさまの新しい任務先は、最高府のあるソラリスだとばかり思っていたんです」


「シヴァ神と云う名誉に興味がないのにシバ隊に入ったと?」


「そうです。だから実際のところ、破壊と創造の舞を僕は踊れません。

 誰も教えてくれないから・・・」


「踊れない?」


「はい。踊れないんです。誰も教えてくれないので・・・」


「踊れないのに、この任務を引き受けたのか?」


ヘルメスはセーヤのその告白に、驚きを通り越し、ただただあきれた。


「お前が踊れなければ、この星は消えて無くなるのに、この任務を引き受けたのか?」


 セーヤはあきれ驚くヘルメスを見て、今にも泣き出しそうだった。


「踊れないなら、任務を断るべきだろう・・・」


「でもみんなは、僕に、大丈夫だ!踊れる!って、言ったんです。だから・・・」


「知らない踊りは踊れないのでは?」


「みんなが言うには、破壊と創造の舞には、決まった決まりも形もない。魂で踊る踊りだから、踊り手の魂が問われる舞だと言うんです。だから、誰にでも運命を動かす力とチャンスはあると言ってくれたんです。だから志願したんです」


 ヘルメスは、あまりに素直で疑うことを知らないセーヤの言葉に絶句した。




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