第13話 クベーラって何者だ?

 クベーラのことを知らなかったヘルメスは、フィルビーに、

「クベーラは、初めて聞く名前だ。いったい何者なんだ?」

と聞き返した。

 その問いに対してフィルビーは、

「お前の新しい恋人に聞くんだな」

と言って、クベーラの素性を教えようとしなかった。

 一方、セーヤはヘルメスの胸に顔を沈めて泣くばかりで、とても聞き出せる状況ではなかった。


 少し時間がたってから、フィルビーがしびれを切らし、ついに口を開いた。

「クベーラさまは、未来を嘱望されている、一番若いグランドマスターだ。

 この宇宙を平和で平等な世界へ導くだろうと言われている。

 若いがすごく人望があるグランドマスターだ」


 ソラリスの元老院の構成メンバーであるグランドマスターについては、警備上の問題から、その名を明かされることは今まで無かった。


「それでなぜ、暗殺計画があることがお前にわかった?」

と、ヘルメスは逆にフィルビーに問い詰めた。


「私に、次のグランドマスターの候補に名前が上がっていると、打診があったからさ」と、フィルビーはこともなげに言った。


「お前は次のグランドマスターは自分だと、自慢したいのか?」

と、ヘルメスはあきれたように言った。


「グランドマスターの定員は決まっていて、欠員が出なければ補充されない。

調べてみたら、クベーラさま以外のグランドマスターはソラリスにいると判

明したが、クベーラさまの行方だけがわからなかった。そしてこの坊やの新シヴァ神候補の噂だ」


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