第8話 惑星テラにはなぜか宇宙の要人が集っていた

 惑星テラは宇宙の中心から遠く離れた、それもほとんど忘れ去られていた

失敗続きの実験惑星だった。

 普通はそのまま忘れ去られ、運が良ければそのまま放置され、惑星の寿命をまっとう出来るはずだった。しかし不幸なことに、今、この惑星には宇宙の要人たちが、なぜか秘かに訪れ、集っていた。それは全くの偶然だったのだが、そのことがこの星の運命を左右し、この宇宙の運命をも左右しようとしていた。

 その一人が、この宇宙でも有名な武将であり、宇宙連合軍の中でも有数のフォースの使い手と言われ、その美形ぶりでも有名な戦士ヨハネだった。

 ヨハネには幼き頃から、心に決めた永遠の恋人がいたのだが、ヨハネはその友を探しにこの星まで来ていた。そしてそのヨハネと最近、行動を共にしているのが、先の宇宙戦争において、連合軍を勝利へと導いた英雄ルシファーだった。

 ルシファーはヨハネよりも年上だったが、戦場で共に戦い、行動を共にするうちに身内のような親しさが自然に芽生えた上官で、今では互いに、誰よりも信頼する相手であり、相棒だった。

 ルシファーもヨハネに負けない、いや、それ以上の美丈夫で、そのルシファーに憧れ、彼をストーカーのように追いかけ、追い回し、異常な愛を捧げる信奉者たちは、あまりに多かった。それはルシファーの私生活に、土足で踏み入り、心の安らぎを奪い、悩ませるものだった。

 ルシファーはその煩わしさから逃れたくて、テラへ来たとも言えた。


 その日、宇宙大学校以来の親友であるミカエルから、ヨハネに連絡が入った。

「何かおかしい。あのいつも閑散としていた宇宙連合が運営するホテルだが、旅行客で満杯になっている」


 宇宙連合軍にはかつて、四神戦士と呼ばれた、若く美しく、その実力も神並みの人気戦士がいたのだが、その戦士がなぜか全員、惑星テラに集まっていたのだった。そしてヨハネがやっと見つけ出した、愛してやまない幼なじみアシュラは、完全にその記憶を無くしていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る