第6話 惑星ソラリスの高級官吏スタンレー・フィルビーの登場にヘルメスは・・・

 一晩、ぐっすり眠った後、ヘルメスは宿の瀟洒なレストランで、支配人お勧めの惑星テラでしか食べられない、特製デザートを食べてみた。冷たく甘く、口の中で溶けるその食べ物は、それからヘルメスのお気に入りとなった。

 窓の外の景色を見ながら、ヘルメスは久しぶりに和んだ気持ちになっていた。

 しかしその安らぎも、すぐに1人の男の登場と共にすっかり消え失せた。


「やあ、ヘルメス。こんな辺境の地で、君に会うとは、まったくの驚きだ!」

と男は大げさに驚いてみせたが、演技であることは見え見えだった。

 男とヘルメスは旧知の仲だったが、ある意味、犬猿の仲でもあった。

 ヘルメスは男を無視したかったが、男がなぜここにいるのかが気になった。

 男はすでにテーブルを挟んだ向かいの席に座っていた。

 しかたが無く、ヘルメスは極上の作り笑いを浮かべ、男に言った。

「やあ、フィルビー! 驚くべき偶然だな。まさかこんな、島流しにも似た状況で、君に会えるとは!」

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