第1章 周囲の環境の把握。何があって何が無くて何に注意して、そして外はどうなっているか
第6話 初期確認(1) ~ディストピア飯と食料調達の必要性
魔法、いやエクステンド何とかについて聞いたところで、僕は気が付いた。
お腹が空いた事を。
2人に聞いてみる。
「今は何時ですか? あと食事の時間は何時と決まっていますか?」
「現在地の太陽時で12時05分です。食事の時間は決まっていません」
「時間は
具体的なやり方が出てきた。
試しにやってみる。
『
『現在地の太陽時で12時05分です』
あっさり答えが返ってきた。
何と言うか、簡単すぎてこれでいいのかと思ってしまう。
『シ●』とか『アレ●サ』、『OK、G●●gle』と同じような感じでいいようだ。
まあそれはそれとして12時か。
情報が少しばかり足りない。
『
『指定が無ければ24時間制で表現します。12時間制ですと午後0時5分です』
こんな質問にも割と素直に答えてくれるようだ。
ならばこの呼びかけで出来る事を確認しておこう。
今度は
「僕から
「自分の物の収納や取り出し、情報の提供は可能です。しかし物資の提供は私達を通す必要があります。
例外として水とお湯は何時でも提供可能です。またそれらを飲用する場合は容器も一時的に提供可能です」
食事だのグッズだのはやはり2人に御願いしなければならないという事のようだ。
なら早速頼むとしよう。
「ちょうどいい時間なので食事にしましょう。これはエリやマキに頼めばいいですか?」
「はい。私達も含め、合計3食分でいいですか?」
大盛りとか小盛りとかは無いようだ。
まあ最初は基本の量から確認するべきだろう。
「ええ、それでお願いします」
「わかりました」
さて遥か未来の食事はどうなっているのだろうか。
そう思った瞬間、テーブルに何かが出現した。
箱だ。
底面積がA5、厚みが2センチくらいの箱。
素材は漂白されていない灰色の厚紙。
何となく中身に期待出来なさそうな気がした。
でもひょっとしたら予想外に美味しい物が入っているかもしれない。
判断は食べてからにしよう。
しかしこの箱、蓋とか開け口とかが見当たらない。
どうやって中身を出せばいいのだろう。
「どうやって食べるんですか?」
「
力業な方法だ。
しかしそれが基本なら仕方ない。
郷に入っては郷に従えという奴だ。
『
『わかりました』
これで蓋のように持ち上げれば開く形になった。
開けてみると……
ディストピア飯だ、これは。
それが僕の第一印象だ。
入っていたのは茶色、緑色、黄色をした、焼菓子風の直方体が3つ。
長さ的にも大きさ的にもカ○リーメイトっぽい代物だ。
他にはふりかけっぽい大きさの紙袋に入った何かがある。
「これはどうやって食べるのでしょうか?」
「バーフードはそのまま齧って食べます。こちらは飲料水を出して、中に入れて飲みます」
紙袋はふりかけではなく粉末ジュースの模様。
何と言うかやっぱりディストピア飯だな。
戦闘糧食だってもっとましだろう。
そう思いつつ、取り敢えず水を頼むことにする。
『
『了解。標準量を提供します』
水が入った大きめのガラスコップが出現した。
水の量は200ミリリットルくらいだろうか。
紙袋の端を手で破いて中身を入れると、水は白色に変化した。
一口飲んでみる。
味はカ●ピスみたいな感じか。
次に黄色の焼菓子風をかじってみる。
うむ、カ○リーメイトだ。
食べたのは大分前だが、多分こんな味だろう。
茶色も緑も試してみる。
違うのは色だけで、味も食感も全く同じだ。
『
『かつての食卓にあった色を再現したものです。色以外は同じ栄養素で同じ味となります。3個とドリンクでちょうど1日の3分の1のカロリーと栄養素が取れる完全栄養食です』
『
『資源保護と再利用を重視し、持続可能な素材を使用しています。この容器は紙2枚の間に樹脂成分を挟んであり、保存性にも優れています。この栄養食と粉末飲料なら箱の状態で100年以上保存が可能です』
やはりディストピア飯だ、これは。
銀色の袋に入っているものより持続可能な分進んでいる。
しかしこれが三食続くのだろうか。
あと
ならばエリとマキの不自然さについても聞いて大丈夫だろうか。
しかしその件については、後にしっかり考えながらやった方がいいかもしれない。
なら今は先に、食事に関して気になった事を聞いておこう。
『
『健康な人間用の食事は統一されています。他は特殊な病人食だけです』
選択の余地は無いという事か。
やはり食料調達作戦は早々に開始しなければならない。
三食これというのはあまりに酷すぎる。
しかしまずはこの部屋を拠点として住めるようにしなければならない。
まだ風呂だって作っていないし。
部屋の間取りも考えないと。
エリやマキと寝る時まで同じ空間というのは童貞的に辛い。
性処理OKだからやってしまうのも方法論ではある。
ただ今の何もわからない状況で余分な変数を増やしたくない。
2人がどういう状況なのか、まだ把握出来ていないのだから。
ヘタレ童貞と言わないでくれ。
僕なりのリスク計算だ。
風呂と洗面所を作って、それから各個人の寝室と食堂兼リビングをわければいい。
何せ壁の向こうにいきなりトイレを設置するような世界だ。
それくらいは可能だろう。
食料調達作戦は衣食住の住まで決めてから。
それに僕はまだ、ここ恩恵の地についてもほとんど知らない。
エリとマキに案内して貰えばいいだろう。
案内する事が許可されているかはわからないけれども。
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