十話 キラートマトの子守唄(3)

 飛芽が推品のズボンを脱がせると、推品の逸物は既に100%勃起して、パンツでテントを張っていた。

「わ、吾輩に、しゃぶられたくなかったら、拒否してもいいからな」

 飛芽は赤面しながら、寸止め美少女戦隊プリティスキン公認のコンドームを手渡す。

「飛芽」

 推品はパンツを脱ぐと、震える手でコンドームを装着しながら、確認を取る。

「好きです。飛芽がしてくれるエロいプレイは、全て受けます」

「い、いや、これは、その、上書きで、悪女との関係を…」

 この期に及んで建前で言い訳しようとする飛芽の眼前に、推品は奮い立った逸物を見せる。

「お願いします」

 コンドームを装備して控える逸物も、ビクんとお辞儀をする。

「おお、ええ、ああ」

 自分から性技で籠絡したると意気込んでここまで来たのに、飛芽の動きが鈍る。

 鈍った直後に、二秒ほどバグったように震え、居住いを正す。

 飛芽の瞳が、トマト色に輝いている。

 飛芽の声帯から、遠萌ファイの慇懃無礼な声が出る。

「意外とチキンですね。先輩の体液を啜れば、気持ち良くパワーアップ出来るのに。怪人に向いていなのね」

「…君、今、牢屋だよね?」

「捕虜収容所の最重要個室で、ドラゴンランス戦記を一から読み直している最中よ」

 遠萌ファイに遠隔操作された飛芽の両手が、推品の肉棒と玉袋を掴んで、淫らに摩り始める。

 飛芽の顔は興奮に赤らみ、先程までの恥じらいが欠片もない。

「大幹部を舐めないでね。片手間の脳波コントロールで、元怪人娘の一人くらい自由に動かせるから」

 遠萌ファイに操作された飛芽の舌が、コンドームに包まれた推品の肉棒先端部分を、舐め始める。

 常日頃、エロい同人誌で飛芽をオカズにしてきた推品だが、そこは快楽に流されずにキッパリと断言する。

「飛芽を離せ、ファイ。飛芽を泣かしたら、魔王の子供に、飯は食わさない」

 遠萌ファイは手を緩めずに、というか飛芽の口舌を緩めずに、推品の肉棒に快楽を与え続ける。

「(ぺろぺろ)それをやったら(れろれろ)、何百万人死ぬか(もごもご)、理解しています?(ちゅぱちゅぱっ)」

「飛芽の方が、大切だ」

 見栄を切りながら、推品は射精を我慢する。

「(ちゅぷっ)ふ〜ん。(じゅぷじゅぷ)出来もしない事を(んぐんぐ)」

 遠萌ファイは、肉棒を根元まで咥えさせると、コンドームを唇で外させようとする。

 コンドームを艶かしい手段で剥がされて、推品は我慢出来ずに達してしまう。

 遠萌ファイは飛芽の顔面で、熱い白濁液を受け止めさせる。

 遠萌ファイは狂喜しながら、口周りの精液を舐め取る。

「ウフフふふふふふふふ、先輩は、最高の汁袋ですよ」

 飛芽が顔面を淫らに汚しながら、子種汁を飲み干して感動している絵面に、推品は騙されない。

「飛芽を返せ」

 脅迫にも快楽にも流されない推品に目を細めつつ、遠萌ファイは操縦している飛芽の体調にも不利を悟る。

「あら、先輩のを舐めても、虜に堕ちないわね。これって、既に惚れていたからというオチ? わお、本当にお邪魔だったかしら」

 推品は返事をせずに、飛芽の顔面にぶち撒かれた精液を、ティッシュで拭う。

 情事に割り込む遠萌ファイへの敵意が、推品の性欲を完全に押し退けている。

「お幸せに、先輩。でも、その幸せを、魔王の子供にも分けてくれないと」

 遠萌ファイは、飛芽の身体で推品を押し倒すと、対面座位の体位で交わる寸前まで整える。

「次は、このトマト怪人娘を、他の男と交配させますからね」

 そう言って、遠萌ファイは飛芽を解放した。

 解放されても、飛芽は暫く、推品の腰の上から動かなかった。

「飛芽。早く、シャワーを浴びた方が…」

 再び勃起しつつあるので、推品は飛芽に避難を促す。

 飛芽は、下着越しに逸物の先端が股間を突き上げつつあるのに、動こうとしない。

「飛芽?」

「…推品」

「はい」

「美味しかった」

「…はい、どうも」

「美味しかった」

「うん」

「毎日飲みたいと言ったら、引くか?」

 推品は、引いた。

 流石に、引いた。

「シャワーを浴びて、睡眠を取って、とにかく落ち着いてから、決めよう」

「うむ、吾輩も、そうするのが、良いとは思うかも」

 とか言いつつ、飛芽は自分からパンツの布地をズラして、互いの性器をゼロ距離に近付ける。

 下の口から、飲む気でいる。

「推品、ごめん、してくれ」

「助けて! 飛芽が堕ちている!」

 推品は、どうせ隣室で覗き見しているであろう二人に助けを求める。

「違う、汁の影響じゃなくて」

 飛芽は言い分を述べ終える前に、隣室から救助に来たプリスブルーとプリスブラックによって、シャワー室に連行された。



「遠萌ファイの個室は、脳波遮断処理を念入りに増強された。もう同じ操縦はされないとは思うが、推品への牽制に飛芽を脅迫のネタに使う手段は、他にも有るだろう。警戒を強める為にも、プリティスキンの増員にも本腰を入れる」

 後日、暗黒寺は決まった対応策を、デザートを食いながら明かした。

 推品の部屋が襲撃されてから、両隣に暗黒寺と青波が引っ越し、飛芽に至っては同居してしまった。

 店にバイト店員として派遣される民間戦隊も増え、推品の側には必ず二人以上の人員が張り付く次第に。

 推品がプリティスキン全員に食事を振る舞う機会が増えたのだが、青波と暗黒寺は居心地に不満を持っている。

「飛芽さん。最近、キレイですね」

 チーズケーキを完食しながら、青波は飛芽の生足に視線を送る。

 夏の普段着がTシャツ&キュロットから、ブラウス&ミニスカートにチェンジしている。

「肌が何を発し続けているような」

 そして肌から出る色気が、ややエロい。

 彼氏と同居している女特有の、色気だ。

「吾輩は食生活の全てを、推品に任せたからな。そりゃあ、色々とレベルアップする」

 何かの余裕を漂わせて、青波の怪訝そうな視線にドヤ顔で返す。

青波「(あれえ? 今、勝ち誇りました?)」

 青波は、初めて飛芽に地獄突きをしたくなった。

「避妊はしているよな、君たち」

 暗黒寺はデザートを完食してから、肝心な事を確認する。

推品「しているよ」

飛芽「飲んでいるだけだ。心配するな」

 暗黒寺は、茶も飲み干してから聞いて良かったと、青波が口から茶を吹き出すのを見てしみじみと思った。


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