六話 青波綾風のフルマスク(2)

 青波綾風が意識を取り戻すと、知らないラブホテルのベッドの上で、知らない男に戦闘服を強制解除されている最中だった。

 第一装甲の超薄型レオタードはまだ無事だが、白衣型アーマーは破壊されて床に転がされている。

 男は超薄型レオタードの襟元に指を入れて、引き下ろそうと苦労している。

「ねえねえ、これって、装着者以外は脱衣させられない仕様なの? セックスでの籠絡を避ける為? 普通に脱がしてから合体したいけど、協力してくれる?」

「しません!」

 プリスブルー・青波綾風は、拳を固めて修得したばかりのパンチを繰り出す。 

 催眠ガスの影響が抜けておらず、威力も速度もないパンチだった。

「…うっわあ、才能ないんだね、新米ブルーちゃん」

 男は馬鹿にして、平手でパンチを受け止める。

 男がパンチを拳で止めた瞬間、プリスブルーの拳から、パンチ型のエネルギー弾が放出される。

 男は片腕を中心に吹き飛ばされ、壁に激突する寸前に受身を取って、ダメージを減らしてから着地する。

「ふふっ、バトルセンスの無さを、装備品で補うタイプか。なら、本気出そうか」

 男の身体が、二十代半ばの細マッチョの姿から、筋肉と骨格が異様に膨れて青鬼のような巨体に変身する。

 何より特徴的なのは、股間にぶら下がった男根が、触手のように何本も伸びているスタイル。

「先月壊滅したサジャリ魔王軍一の床上手、スパイシーサクジ。口説いた女性に種付けするのに夢中で基地に不在だったので、無事だったナイスガイだ」

 スパイシーサクジは男根型の触手を伸ばし、イソギンチャクが小魚を捕食するように、プリスブルーの両手両足を束縛する。

「得意技は、セックスで女性をメス堕ちさせる事。という訳で、先ずは君からボクのセフレにして…」

 プリスブルーに発言させずに、スパイシーサクジは男根型触手を口に捩じ込む。

「美味しそうな美少女戦隊で、ハーレムを作る」

 プリスブルーの口腔が、男根型触手に嬲られ、埋め尽くされる。

 まるでプリスブルーが、いやいやフェラチオをさせられているような、卑猥な光景である。

「とはいえ、戦闘服にはどうせ、攫われたり破壊された時に救援要請を出すような仕組みがしてあるだろうから、時間がない」

 男根型触手が、プリスブルーの喉奥に突き込まれる。

「ンンンンンンンンんんんん」

「ボクの媚薬効果たっぷりの精液を飲ませて、秒で堕とす」

 逃れられないプリスブルーの喉に、男根型触手の先端から、得体の知れない体液が放出される。

「んん〜〜〜〜〜〜〜ンンン〜〜〜〜!」

「はい、観念して、ごっくんしようか、新米ブルーちゃん。マジで美味しいから」

 スパイシーサクジの媚薬汁を飲み込まされたプリスブルー・青波綾風の脳裏に、初めてネクターを飲んだ時のような、快楽が浮かぶ。

(もっと飲みたいから、ちょうだ…)

 能天気に堕ちそうになるプリスブルー・青波綾風の脳裏の底から、推品の料理を仲間と食べた時の記憶が蘇る。



推品「俺の料理は、媚薬と同じさ。握手とかしなくても、飛芽をハートキャッチ出来るぜ」

 懐石料理風のフレンチ料理を披露しながら、推品がドヤ顔で飛芽に宣戦布告する。

飛芽「美味いのは確かだけど、アホは治せよ。少しは治せるぞ、アホは」

 鴨肉料理の皿をお代わりしたい欲求を抑えて、飛芽が皿を舐める。

暗黒寺「出資し甲斐のあるディナーを、ありがとう。利子は最低限に抑えよう」

 食事に満足して、暗黒寺は出資の条件を思わず下げてくれた。後で二回も舌打ちしていたが。

青波「これだけ美味しいものが続くと、最後のデザートへの期待値が、上がってしまいますね」

推品「あ、ごめん、デザートは市販のプリンだけ。資金が尽きたから。ごめんごめん」

飛芽「おいおいおい」

暗黒寺「先に知らされていなかったら、キレていたかもしれん」

青波「でも…」



(でも、あの時食べた只のプリンが)

 プリスブルー・青波綾風は、媚薬汁の催す快楽に流されそうになりながらも、自我を保つ。

(こんなイカがわしい、お汁より)

 力を振り絞って、男根型触手を噛み切ろうとする。

(ずっと美味しかったです!!)

 噛み切られる前に、スパイシーサクジは、男根型触手を引き抜く。

「新米でも、戦士か。よく耐えた」

 乱れた呼吸を整えるプリスブルー・青波綾風の顔前に、再び男根型触手の先端が近付く。

 今度は顔面に、媚薬汁が『どぴゅうう』っと射出される。

 白濁した媚薬汁を顔面に浴び、プリスブルー・青波綾風の危機感が激増する。

(まさか、皮膚からでも…)

 頬から唇、喉から胸元へと垂れる液体が、皮膚から体内に浸透していく。

 プリスブルー・青波綾風は、淫夢の中で発情するかのように、身体が火照っていくのを止められなくなる。

 こんな敵の目前だというのに、自慰をしたくて堪らなくなる。

 性欲の炎に炙られて悶えるプリスブルー・青波綾風の両美足を、スパイシーサクジが大きく開かせる。

「さあ、気持ち良くしてあげるから、変身を解け」

 濡れてきたプリスブルーの股間に、男根型触手の先端が、押し付けられる。

「嫌です」

「…この戦闘服、極薄でコンドームみたいだな。このままでも、イケるか?」

 戦闘服越しに青波綾風の花弁が、男根型触手に2センチ挿入される。

 開始された花弁への侵略に、プリスブルーは悲鳴よりも喘ぎ声を多めに発して、涙目で恥じらう。

「イケそうだな」

 スパイシーサクジが、本格的に腰を突き入れようと、覆い被さってくる。

 煽られた性欲に流されつつあったプリスブルーが、自作の戦闘服ごと犯されそうになって、我に返る。

(身体もだけど、私の戦闘服まで犯すなんて、許しません!)

 ちょいと変わった方向で、プリスブルーの戦意が、欲情を上回る。

 後手後手に回ってピンチな状況下で、プリスブルーは超高速で逆転の手段を講じ始める。

(打開策タ〜イム!)

 プリスブルーの脳が、あぶない反撃策を思い付く。

(ふっふっふ。これが本当の『肉を突かせて、骨を…』なんだっけ?)

 ナイスアイデアを浮かべて油断してしまった瞬間に、花弁への侵略が5センチまで進んでしまう。

「っっっっちょっとっっ待ったアアアアア」

「んん? 痛かった? 変身を解いて生ハメに変更する?」

 スパイシーサクジは生ハメに欲を出し、一旦離れる。


 その瞬間に、プリスブルーは作戦を発動した。

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