…何、砂糖部って(困惑)
「ここが部室だよ!」
「おい、出会いを捏造した件が残ってるんだが。」
彼女は何事もなかったかのようにニコニコとこちらを見る。
「じゃ、入って入ってー。」
「あの、こんなにツッコミどころ満載でスルーすることある?」
さっき言われたセリフを、そっくりそのまま返してやろう。
「…だってだって、君が気になってしょうがなかったんだもん!」
なんか少し照れたように俯いて、ヤケクソで彼女は言う。
「え、何ナンパ?」
「た、たわけっ!」
まあ僕みたいなアニオタがナンパされるわけないですよね知ってた(早口)
「いいじゃん、アニオタ男子の憧れだし。ほら、チラシが飛んでくるやつ!」
「アニオタ男子の憧れを女子が語るな。」
「いや、私の方が男子よりもアニオタしてるし。」
「たわけ。どうせ君、イケメンキャピキャピ系アニメしか見ないタイプだろう?全国の男性アニオタに謝れ。」
僕もアニメの話になると黙ってはいられない。多分彼女は先輩だが、思わずタメ口で話してしまう。
「やだなぁ、私ラブコメ大好きなんだけど。」
「ラブコメ好きの女子高生とか三次元でいたら、天然記念物だろ。」
「‥褒めてる??」
僕の方を彼女は見上げてくる。
「ああ、もしそんな女の子がいるんだったら拝んで見たいものだね。」
「じゃ、私を拝み給へ。」
うわあ、すごいドヤ顔でなんかムカつく。
「うわあ、すごいドヤ顔でなんかムカつくって顔してるー。」
だから、なんでバレてるんだよ。
「あ、そういえば君名前なんて言うの?」
彼女は、カバンの中をゴソゴソとやりながら僕に話しかける。いや、話逸らすなし。
「…塩谷ですけど。」
「ふーん。どんな漢字書くの?」
「岩塩の塩に、渓谷の谷ですが。」
「オッケー!コレであってる?」
彼女は僕に紙を見せてきた。
「ああ、あってまs…っておい。」
僕の名前が入部届に書いてあった。しかも部の名前「砂糖部」だし。
「…チッ」
この女舌打ちしやがった。
「そもそもなんなんですか、砂糖部って。」
僕は彼女にそんな当たり前の質問を投げかける。そういえば、僕は彼女の名前すら知らないな。一体こんだけキャラの濃い人の名前って…。
「佐藤さんの、佐藤さんによる、佐藤さんのための部活だよ!」
「いや、ありふれた名前だった‼︎」
「え?」
「すみませんこっちの話ですっ。」
いかんいかん。心の声が出てしまった。
「…で、改めて佐藤さん。僕は一体なんの部活に片足突っ込んでるんだ?」
ここは落ち着いて、クールに対応しなくてはいけないな。
「んー。実はまだ決まってない!」
腰に手をあてて、エッヘンと言わんばかりの態度で佐藤さんは言った。
…そう、僕はここで俺tsueeee系主人公のようにカッコよく、クールに行かないといけないのだ。キレてはいけない。そう、絶対に。
僕は、深呼吸をする。ふう。では言おう、僕の思ったことを…‼︎
「潰れっちまえ、こんな部活っっ‼︎」
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