第23話 休日の予定

「なあなあ、明日休みだろ?皆でカラオケ行かね?」


本日の授業が全て終わり、さて帰ろうというタイミングでクラスメイトの一人からそんな声が上がる。


「おう!それいいな!」

「いいねー!行こう行こう!」

「私も行くー!」


盛り上がるクラスメイト達の様子を見るにほとんどの生徒が行くような雰囲気になっていた。


数人の生徒は、その言葉を聞いても同調はせずに我関せずとさっさと教室から出ていっていたが、水瀬さんはまだ残っていて、クラスメイト達に一言言った。


「皆さんで遊ぶのはいいですけど、我が校の生徒の自覚を持った行動をしてください。では」


チラッと俺を見てから、教室を出ていく水瀬さん。


「水刺すよなー、水瀬」

「気にしなくていいだろ。どうせ来ないんだし」


水瀬さんの不参加の表明……というよりも、最後の注意に眉を顰めるクラスメイト達だけど、水瀬さんなりの優しさなのでそこはきちんと伝えておこう。


「でも、確かに俺達も高校生になったんだし、人を思いやるくらいには大人にならないとね。どうせならカッコイイ生き方を目指さないと」

「疲れそうだけどなぁ、それ」

「そのリフレッシュで遊べばいいさ」

「それもそうかもな」


俺の意図など何一つとして理解してないし、共有もしてないはずの岡田だけど、こうして比較的思考や倫理観、考えた方全般がわりと近い位置にあるので話を動かしやすくて助かる。


「なんか、蒼井って真面目なのか不真面目なのか時々分からんくなるな」

「でも、それならモテそうだしいいかもな!」


上手いこと、先程の水瀬さんの言葉を飲み込ませつつ、釘をさしてテンションを保つことには成功する。


「そんな訳で、明日のカラオケは罰ゲームとして、一番遅い人が最初に来た人にチーズバーガーセット奢りということで」

「任せろ。明日は始発で来てやるぜ」


ダメ押しでそんな事を言ってみると、何故か岡田が人一倍やる気になっていた。


「希望者は他のものでも可だから、最後の人頑張ってねー」


そうして、時間と場所を決めてから、俺はクラスメイト達を残して水瀬さんを追いかけることにする。


明日はカラオケかぁ……正直、気乗りはしないけど、とりあえずはクラスメイト達ともう少し交友を深めつつ、無難に過ごすとしようかな。


クラスとしては始まったばかりだし、早いこと馴染んで動かしやすくさせるのは必須なのでやるしかない。


とはいえ、水瀬さんが来ないのであまり気分が上がらないのも事実……うむ、ここは俺も思い切った行動を選んでみるのがいいかもしれないな。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る