第7話 帰路の猫

 ある日の夕方。仕事帰りのいつもの道――

「ほぉわわわぁ~」

 感嘆のため息が出ていた。なぜなら――

「……ニャー」

 黒猫が私の行く手を陣取っていたからだ。

「ど、どうしたのキミ――あ」

 黒猫は私と目が合うと、

「え、え!?」

 テトテトと歩み寄って来る。

 黒猫が横切ると不吉、なーんて迷信もあるけれど――知ったこっちゃない。だって昔、誰か言ってたもん。「黒猫を飼っている家ではそれ、日常茶飯事じゃん? だから大丈夫だ!」ってね!

 そんなことを思い出しながらも、私は身構えた――。

「カモーンぬ……」

「ニャー」

 そう鳴いて黒猫は――

「お、おお!?」

「ニャ」

 私を軸にくるくると回り始めた。

「にゃーんっ!!」

 ダメだ、可愛すぎる。

 ダーリン、今日は遅くなりそうです……ムフ、ムフフ。



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