第5話
不思議を不思議としてしまうから混乱するのであって、それを「そういうもんだ」と認めた途端、それは非日常ではなく、日常……普通になる。
初めて入ったはずのその部屋は、驚くほど落ち着く空間で、あまりにも情報量が多く、キャパオーバー過ぎた一日を終えた
「そういや、ちゃんと自己紹介されてなくね?まあ、もう、誰が誰かはわかるけど……つーか、見た目は皆普通に人間だし。同世代の奴らと何にも変わらないのに、異能?人外?ダメだ。ちゃんと考えちゃうと、わかんなくなる。一先ず今は
グレーとネイビーで統一されたその部屋のどこら辺が自分に「似合う」のかもわからなかったが、疲労感で膨らみきった眠気が
*
「
「何言ってんの?別に、何も隠してねーよ。まあ、最後の一人だった
「違う。ねえ、
「は?んなこと……って、誤魔化せねーわな」
「そうだよ……って、えっ?」
「マジで、だから、
「
「んなことねーよ。俺は、俺に出来ることをやってただけだし。俺こう見えて皆より年下じゃん?だから、そもそも最初から少なかったんだって」
「……俺らも、
「たぶんな。いや、まあ、確実にそうだな。
「引くわけないだろっ!」
「ごめんて、怒るなよ……」
「
「なんて言ったら良いかわかんねーけど“わかる”んだよ。疑う余地がないってか、過去のことは全部忘れちゃったはずなのに、俺、そういえば吸血鬼だったわ。ってカンジ?ほら、ヒトだって、常に“自分は人間だから”とか考えてないっしょ?そんなノリ」
「意味分かんねー」
「だな。俺、説明下手なのかも」
「そういうことじゃなくてっ……あっ、症状、症状みたいなのは大丈夫なの?その、血が飲みたい的なやつとか」
「それはまだ……強いて言えば、めっちゃ冷え性になったのが地味に辛い。ほら、超末端冷え性でしょ?」
そう言って
「冷たっ……まじか」
その感触と冷たさは、
「
「あっ、そういえばさ、
「まじか……
「くそっ……あいつ……そんな気はしてたけど、ホント、俺らの心配は無視して突っ走るから」
「ってか、
「あれ?今回、
「大丈夫。そもそも留守番ってなってたし。まあ、すでに大丈夫じゃないけど」
「これ以上減らない様に今まで以上に守るしかないな」
「
「んなの、俺にもわっかんねーよ。あーっ!!ルキが来てやっと揃ったかと思ったらこれかよ。っつーか、もう、みんなチカラ使うなよ。バケモノになるのなんて、俺だけで十分……」
「
「ごめ……俺……」
「あのさ、俺、まじで大丈夫だから。
行き場のない不安と、焦燥が2人それぞれに押し寄せていた。
*
「お前さあ、ホント、俺らが今までどんだけ……って、もう何言っても遅せーけど」
「そうですよ。過去のことなんて気にしないでもらって。どうせほとんどもう覚えてないし、これからも忘れていくだけなんですから」
「お前ふざけんなよ!勝手にチカラ使いやがって……しかも、俺と
「
「はあ?てめえ、やんのか?」
「まあまあ、
「それは……でも、僕だって皆の役に立ちたいし。それに、僕にしかできないことが多いんだからしょうがないじゃないですかっ」
「うざっ……」
自分たちの写真を初めて裏返して見せ合った時、
「……でもまあ、俺らがどんなに
「そうそう。やっぱり
「マジでお前何なん?ちょっとはこっちの気持ちも考えろよ?俺らだけじゃねーよ、つーかむしろ、
「……僕は、別に大丈夫なのに」
「いやいや、一応言っとくと、それは皆のためでも何でもないからな?そんな自己犠牲は誰も望んで無かったし、つーか、約束を破った結果がこうなっちゃったんだから、
「
「謝る必要はない。しかも、謝る相手は俺じゃねーだろ?でも、俺も、次はマジで許さねーから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます