第18話 alone darkness
淡いパステルカラーの森の中。
そこに住む動物と植物が作り上げた、手つかずの自然が作り上げた風景の中に、その小屋はあった。人間が作り上げたというのに、まるで動物たちの集会場として森の神様が作ったもののように見える。
今、その小屋に異変が起きていた。
閉じている窓の隙間から、雷のような強い光がパチッ、パチッと漏れだしたのだ。
ただ事ではない雰囲気に、遠巻きに眺めていたハネリスが急いで巣穴へと逃げ帰る。
小屋の中の物置部屋には、白いガスのような煙が充満していたが、少しずつ収束していき、部屋の壁や床が見え始める。
煙が消えた部屋の中央に、一人の少女が、まるで置き去りにされた子供のように立ち尽くしていた。
「ここ、は……?」
彼女はしばらく身動きもできずにいたが、やがてゆっくりと恐る恐る、といった感じで周囲を見渡した。
彼女のほかには誰もいない、薄暗い小屋の中。
「また、独りぼっち」
諦めたような生気のない声。
薄暗い小屋の中より、いっそう暗く沈んだ瞳。
彼女は見えない鎖につながれ、牢に閉じ込められた罪人のようだった。
彼女が何かの音に反応する。
最初、風の音かと思った。
しかし、それは人間の声だった。
彼女の背後から、薄気味悪い笑い女の笑い声が聞こえた。
彼女が後ろを振り向くと、笑い声は真横に移動する。彼女が声のするほうに顔を向けるごとに、声は彼女をからかうように逃げ回った。
「誰? 誰かいるの!?」
ほとんど鳴き声といっていい彼女の言葉に答えるものは誰もいない。
ただ気味の悪い笑い声だけが、蝶のように部屋の中を飛び回った。
次にどこからか何かが近づいてくる音が聞こえた。
足音とは違う、大きな鳥が羽ばたきながら、こちらに向かって飛んでくるような音。
その音の方向に目をやる。
すると部屋のドアが一気に開かれ、白い服の少女が飛び込んできた。
突然のことに驚いて後ずさりすると、目の前で存在しないはずのガラスが割れて破片が飛んでくるような感覚。続いて少年が叫び声とともに飛んでくる。
先に部屋にいた少女は、ドアから飛び込んできた少女と、何もない空間からいきなり現れた少年に突き飛ばされるような形で部屋の壁に背中をぶつけた。
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