第23話 ケルベロスの正体

そして……竪琴は見つかった。

ロスが、オル師匠のニオイがする、と言いながら追跡していった。

ケルとベルも一緒だ。

「こっちじゃねーの」「イヤ、あっちだ」「二人とも静かに、このニオイ間違いない」

三人に着いて行くと岩山の暗がりに落ちている竪琴が見つかった。

おそらく取り上げたゴブリンが放り出していったのであろう。


「良かった~。

 竪琴くん、どこも壊れて無いだろね?」


オルは竪琴を抱きしめていた。

乱暴に扱われたのか、多少の擦れはあるが大きな破損は無い。

ふぅー。

胸を撫でおろすオルなのである。


「ありがとう!

 ありがとね、三人とも」


「まかせといて、シショー」

「フッ、感謝しろよ」

「大したことではありませんよ」


さて竪琴が見つかったトコロで。


「えええええっ!

 ええっ、なんでなんでなんで!?!?

 なんでロスたちがいるのーっ。

 さっきのデカイ獣は?

 あの獣が三つ首でキミたちが三つ子でそいでもってあのケルベロスが居なくなったと思ったらケルとベルとロスが現れてあの魔物の頭ってば黒いのが左右にあって真ん中の顔の前面が灰色でそいでそいでケルとベルは黒髪でロスだけ灰色の髪していてしかもロスってば鼻が利くなんて言い出して鼻が良い生物って言ったら犬だよね。

 なんだか凄くとってもオカシナ事を僕ってば想像しちゃうんだけど……」


「シショー、なんで今驚くの?」

「早口過ぎてなに言ってんのか、わかんねー」

「…………全く驚かないので、オル師匠は見かけ以上に豪胆な方だと思っていましたが」


「……だってだって!

 竪琴が見つかるまでは驚いてる場合じゃ無かったんだよ!」


「あはははは、シショーおもしろい」

「あはははは、シショーかっけええな」

「……なんと言いましょうか、さすがオル師匠です」


ケルとベルはオルを指差して笑ってる。

そんな二人を置いておいて、ロスが進み出る。

マジメな瞳でオルを見ながらこう言った。


「はい。御明察の通り。

 僕たちがあのケルベロスです」


……そうだよね。

そりゃそうだよね。

分かってましたとも。

驚きつつも胸の中で頷くオルなのである。

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