第8話 師匠
クックドゥードゥルドゥー!
コケコッコー!
キ・ケ・リ・キー!
鶏の朝を告げる声が響き渡って。
これってばどんな夢なんだろ。
などとネボケてたオルの頭をシャッキリさせるけれど。
目の前の三人はいなくならない。
夢の世界の住人じゃ無かったんだ。
「わっ、うるさーい」
「すっげぇ声ー」
「……ニワトリの声だよ」
「にわとりだってさ、ベル」
「脅かし返してやろうか、ケル」
「……ダメ」
オルの前で三人の子供がワチャワチャしてるのだ。
……もしかしてあの夫婦の子かしら。
昨夜は紹介されなかったけど。
そんな事を思ってると納屋の扉が開いた。
「オルさん、起きてますか?
昨日約束したお湯とタオル持ってきましたよ。
あら、子供?!
それも三人も、この近所じゃ見ない子達ね。
オルさんのお知り合い?」
と驚いた顔の奥さんが言ったので。
この子達はここの家の子じゃ無いとゆー事実は分かった。
「……すいません。
あの、えーと、僕はロスと言います
勝手にお宅に入ってしまって……」
と、男の子が奥さんに頭を下げる。
大人しそうな声だな、と思った子。
現在も少しオドオドとしたフンイキ。
「俺、ケル。
あのシショーの弟子にして貰ったんだ」
「俺、ベル。
あのシショーの弟子になってやったんだ」
こっちは悪戯っぽい声だな、と思った方。
元気に奥さんの前で胸を張っている。
あれっ?
いつのまにか、弟子に決まっちゃってる!?
僕、まだ良いとも何も言ってないんだけどな。
改めて見ると、ケルとベルと名乗った子は黒い髪、金色の瞳。
よく似た二人。
ロスと言う子は灰色の髪、黒い瞳。
顔立ちは二人とよく似てるけど、雰囲気は少し違う。
今も奥さんの前で二人がペラペラ話してるのに、その二人に少し隠れる風に黙っている。
「あらあら、カワイイ子たち。
よく似てるわね~、兄弟かしら」
「うん、三人兄弟」
「同時に産まれた三つ子なんだぜ」
「そうなのね。
それで…………
オルさんのお子さんなのかしら?」
「オル?」
「オルって誰だっけ」
「……バカ!
ケル、ベル、師匠の名前だ。
それくらい覚えてよ」
「ああ、コイツか」
「コイツ、シショーって名前なんじゃ無かったっけ」
「お師匠様を指差さないで!」
未だにオルには何がなんだか良く分かって無いけど。
いつの間にかこの三人の子供達の師匠と言う事になってしまったらしい。
その事だけは分かった。
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