第95話
戦いが終わるり、後片付けが終わるとウエポンが帰る事になった。
「シュコー、シュコー、世話になった、シュコー、シュコー」
「……もうその兜、外したらどうだ?」
「シュコー、シュコー、アクア共和国は色々面倒なのだ。ではさらばだシュコー、シュコー」
ウエポンは部下を連れて帰って行った。
アクア共和国か、平和だけど、手続きとか面倒だったな。
「行ってしまわれましたわね」
「ワッフル、見送りに来て大丈夫だったのか?王都で国を立ち上げる予定だっただろ?」
「終わりましたわ。フレイム王国はフレイム国に生まれ変わりますわ」
フレイム王国は国王ではなく議会が政治を主導する国へと生まれ変わる事が決まっている。
俺は魔石の洞窟がある城の領主になり、魔石の洞窟はフレイム国と共同管理をする事となった。
城はただの城から爆炎の城という今にも爆発しそうな名前に変わり、魔石の洞窟はモグリン洞窟となり、魔石を取りつくした地帯は宿屋兼観光名所となった。
領主となってもやる事はいつもと変わらない。
闘技場を作るか。
街の外れに闘技場を作る。
この場所は兵士や冒険者の訓練所として使われ、イベントがあった際にはイベント用に使えるように計画して作っている。
仕事が終わるとミルクさん・ワッフル・プリン・チョコと夕食を摂る。
何故かセバスも座って一緒に食事を摂る。
「どうしたのだ?」
「いや、座っているのを見るのが珍しくてな」
「そっちか、てっきり」
「ん?てっきりなんだ?」
「私との試合の事かと思った」
「え?」
「チョコ、アキには言いましたの?」
「言ってませんよ?サプライズです」
「なになになに!?」
「おほん、訓練場の完成と共に爆炎祭が執り行われますわ」
「爆炎祭って!全部吹き飛びそうな名前だな!」
「そんな事はありません。爆発するほどのインパクトを、ぷ、くふふふふふふふ」
「チョコ、笑って吹き出すんなら名前を変えようか。後情報の隠蔽は良くない」
「いいじゃない。爆炎の英雄なんだから爆炎祭よ!」
「まあいいや。その爆炎祭とセバスの試合はどうつながるんだ?」
「仮のお祭りスケジュールを言いますわね。領主任命式、騎士の授与式、私達4人とのお披露目用の結婚式」
「結婚式!俺知らないんだけど!」
「はいはい、それとモグリンサーカス、モグリンパンの販売促進、その後は細かいイベントを挟みつつ剣闘会です。そして最終日のラストにアキVSセバスのリベンジマッチが行われます!」
「色々ツッコミ所がありすぎる」
「1つ1つ答えていきますわね。まずわたくしとセバスはここに住むことになりましたわ。議会制になったのですからフレイム国にとってわたくしは邪魔ですから。結婚式はアキが仕事を優先しすぎる為無理をしてねじ込みましたわ。それとわたくしとアキの結婚は国の友好を象徴していますのよ。モグリンサーカスとモグリンパンは資金確保の為ですわね。もっと言うと爆炎祭自体資金確保の為でもありますわ。剣闘会とアキVSセバス戦は客寄せの意味もありますわね」
「そ、そうか」
早口だった。
ワッフルが凄く早口だった。
「う~ん、セバスとの試合に備えて色々考えておこう。出来る事は全部揃えておく」
「それは楽しみだ。私は見せていない最強の技を見せよう」
「ええ!最強技があるのか」
「楽しみにしている」
こうしてその日から俺は暇があればものまね極を発動させ、固有スキルを何度も使って過ごした。
祭りが始まり、セバスとの試合の日になってもまだ足りない気がする。
固有スキルを使いこなせるようにはなってきている。
ステータスに見えない部分は成長したと思う。
新しい固有スキルも覚えた。
それでも足りない気がする。
……セバス相手だ。
ずっと足りない感覚は残り続けるのかもしれない。
爆炎際の最終日、俺とセバスがリングに上がる。
チョコはまたバニーガールになって俺とセバスにマイクを向ける。
マイクが近くてちょっとうざい。
「準備は万全か?」
「いや、何かが足りない気がする。でも、それが何か分からないままだ」
「そうか。私のすべてをこの試合で見せよう。私の切り札だ。そして友好の証でもある」
他国に自分の切り札を晒す、それが友好の証か。
俺のものまね極が強く発動される。
セバスの性格や前回の戦いが脳裏に蘇る。
自分のステータスを見返す。
アキ 人族 男
レベル 53
HP 630/630
MP 630/630
攻撃 630
防御 630
魔法攻撃 630
魔法防御 630
敏捷 630
ジョブ ものまね士
スキル『ダブルナックル★』『クロススラッシュ★』『クロスフィニッシュ★』『ものまね極★』『スライムウエポン★』『縮地★』『空歩★』『コンボフィニッシュ★【NEW!】』『短剣レベル10』『剣レベル10』『刀レベル10』『槍レベル10』『斧レベル10』『体術レベル10』『弓レベル10』『投てきレベル10』『炎魔法レベル10』『水魔法レベル4』『風魔法レベル5』『土魔法レベル4』『光魔法レベル10』『闇魔法レベル10』『錬金術レベル10』『HP自動回復レベル10』『スタミナ自動回復レベル10』『瞑想レベル10』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル10』『速度強化レベル10』『隠密レベル10』『感知レベル10』『分析レベル10』『暗視レベル10』『遠目レベル10』『透視レベル10』『採取レベル5』『運搬レベル5』『ストレージレベル5』『騎乗レベル6』
クロスフィニッシュとスライムウエポンを組み合わせ、更に縮地や今までのすべての経験を詰め込んだコンボフィニッシュを完成させた。
前は魔法を覚える予定だったが最近は固有スキルを自在に扱えるようにする鍛錬だけを続けていた。
「それでは位置についてください!」
お互いがリングの端に歩いて構える。
セバスが両手に短剣を持ったまま、クラウチングスタートのような前傾姿勢で構えた。
その瞬間に思った。
このままでは勝てない!
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