第94話

 俺はジェット噴射のように飛んで逃げるグリードを追うが、先にウエポンがいた。


 ウエポンはいつも浮かせている槍に乗って飛んでグリードを追う。


 俺はワッフル・チョコ・プリンと一緒に後からグリードを追った。



 だがウエポンの目の前にナンバー1とナンバー2が立ちはだかった。



「ウエポン!ナンバー付きは俺達が相手をする!グリードを追ってくれ!」

「任せろ!」


 ウエポンは飛んでいった。


 俺はナンバー1とナンバー2に爆炎ナイフを投げたが、避けられた。


 だがその隙を突くように放たれたチョコの矢がナンバー1の膝に突き刺さる。


「降参しないのか?もう二人とも弱っているだろ」


「けじめがある」

「同じく」

「死ぬまで戦う気か?」


「死ぬ瞬間まで勝利を信じて戦うのみだ」


 死ぬ気で戦うのと同じことだ。


「アキ君、無駄ですよ。戦いましょう」

「俺はナンバー1と闘う」


「分かりました。私達でナンバー2を倒しましょう。ナイフダンス!」


 ナンバー2に何本もナイフが突き刺さった。


「ソニックタイム!」

「オーラブースト!」


 プリンとワッフルはナンバー2を挟み撃ちにするようにして剣と刀で斬り刻んでいく。


 ナンバー2が倒れた。


「スライムウエポン!」


 スライムガントレットには左右に4つの紋章を貼り付けできる。

 すべて攻撃力強化の紋章を張り、発動させた。

 更にスライムウエポンにスライムガントレットを混ぜ合わせていく。


 両腕のガントレットにスライムウエポンが融合して強化された。


 ナンバー1は消耗してはいるが英雄に近い力を持っている。

 一気に仕留める。


 一気にナンバー1に接近してガントレットは刀に姿を変えながらナンバー1を袈裟斬りにした。


 そして空いた懐にガントレットに戻した拳を叩きこんだ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 ナンバー1が倒れる。


「終わったか」


 周りを見ると額にナンバーが刻まれている死体が何体分も転がっていた。

 0から6の番号と13の番号の死体が確認できた。


「次は兄を、グリードを倒しますわ」


 ウエポンはグリードを追いかけるが空中戦が得意ではないようだ。

 攻撃方法は基本近接攻撃で空中戦は分が悪いか?

 対してグリードは自由に空を飛び、ファイアの魔法を飛ばしてウエポンを牽制している。


 いや、違う!

 ウエポンはすぐに止めを刺せないことを察してグリードのMPを消耗させる作戦に切り替えたんだ。


「ウエポンとグリードは鬼ごっこをしている。ゆっくり追いかけよう」 

「アキ君の言いたいことが分かりました。消耗戦が終わってから取り逃がす事が無いように追撃をすればいいんですね?」

「そうだな」


「水分補給はしておこう」


 俺達は歩いて空中で戦う2人を目指した。




 ◇




 グリードとウエポンが地上に降りるとグリードが苦しそうに息を上げる。


「どこまで、はあ、はあ、はあ、追ってくるのだ!」

「苦しかろう?MPもスタミナもそう残ってはいないはずだ」


「私につけばいい思いをさせてやろう」

「我を殺そうとしておいて良く言えたものだ」


 ウエポンの槍がグリードを突き刺す。


「がはあ!待て!話を!」


 ウエポンの斧がグリードの体にめり込む。


「ごがあ!王に向かって!」


 ウエポンの刀がグリードを何度も斬り刻む。


「やめ!ごが!」


 グリードが炎に包まれた。

 逆再生のようにグリードが起き上がり、傷が癒えていく。


「は、はははは!ははははははは!私は王になるべくして王になった!私は不死身なのだ!」


 グリードが炎で復活し、ウエポンはその炎に焼かれていく。

 グリードの固有スキルか?

 だが、初めて試したように見える。


 生き返るから死ねと言われて死ぬ奴はいないか。


「この固有スキルは私を完全復活させ、周りにいる者を炎で焼き殺す!死ね!ウエポン!」


 火だるまになったウエポンの炎だけは消えない。


「私のMPは回復したあああ!」


 そう言いながらグリードの足から炎が噴き出す。

 逃げる気だ!


 俺は縮地を使い、一瞬でグリードに迫った。


「クロスフィニッシュ!」


 グリードの両足が飛んだ。


「足が無くても飛べるのか?」

「やめろ!私は何度でも蘇る!私を攻撃すればウエポンと同じ目にあう!」


「嘘ですわね!完全復活と言っても復活する炎が何度も使えるとは思えませんわ!」


「とはいえ2回使ってくる可能性はある。俺が殺そう」

「わたくしがやりますわ!」

「いや」

「わたくしがやりますわ。ウエポンの治療をお願いしますわ!」


 そう言ってワッフルはグリードに斬りかかった。


 俺はウエポンに何度もヒールを使い、水を放射した。


「火が消えない!試しにグリードを殺してくれ!早く!」


「やめ!」


 ワッフルは無言で剣を振った。

 何度も斬られてグリードが動かなくなる。

 ウエポンの炎も消えた。


「終わったか」


「ワッフル様、お見事です」


 セバスが現れた。

 セバスはボロボロになっていた。


「血だらけじゃないか!すぐに治療する!」

「私は大丈夫だ。それよりもワッフル様の腕からわずかに血が」

「セバスからだ!右腕がおかしな方向に曲がってるだろ!」


「ウエポンさんよりひどい傷ですよ」

「治してもらいましょう」

「セバス、あなたから治療するのですわ」

「セバス、自分の体をよく見るのだ。大丈夫ではない」


 その後セバスは倒れて3日間寝込んだ。

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