第17話

「ステータスを見せてくれ!今回復魔法不足で困っている。アキの能力が解決のカギになるかもしれねえ」


 回復魔法使いは希少でポーションは高価だ。

 俺のステータス次第ですぐに回復魔法を使えるようになると思ったんだろう。


 ポーションなら作れる。

 でも俺が覚えたいのは回復魔法だ。


「アキ君のステータスを見ても考えを変えず、回復魔法を教えてくれると約束出来ますか?」


 チョコが俺の言葉を先読みするように言った。


「約束するぜ」


 俺はステータスを開示した。



 アキ 人族 男

 レベル     13

 HP 180/230【+120】

 MP   230/230【+120】

 攻撃 230【+120】   

 防御   230【+120】

 魔法攻撃 230【+120】

 魔法防御 230【+120】

 敏捷   230【+120】

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ものまねレベル7』『短剣レベル5』『剣レベル5』『刀レベル5』『槍レベル5』『斧レベル5』『体術レベル2【NEW!】』『弓レベル5』『投てきレベル5』『炎魔法レベル3』『水魔法レベル3』『風魔法レベル5』『土魔法レベル3』『光魔法レベル2』『闇魔法レベル2』『錬金術レベル7』『HP自動回復レベル5』『スタミナ自動回復レベル5』『瞑想レベル5』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル5』『速度強化レベル5』『隠密レベル5』『感知レベル5』『分析レベル5』『暗視レベル5』『遠目レベル5』『透視レベル5』『採取レベル5』『運搬レベル5』『ストレージレベル5』



 受付嬢とギルド長が驚く。


「スキルの化け物じゃねえか!しかも身体強化と速度強化を使わずに俺と戦っていたのか!まだ力を隠してやがったか」

「いえ、ものまねに集中したかったので使う余裕がありませんでした」


「ものまね士なのによくここまで伸ばしましたね!」


「でも、固有スキルは覚えてません」

「十分だろ。ん?待て、能力値が全部+100になってねえか?」

「魔物を倒してもレベルアップ出来ない代わりに能力値を上げる腕輪をつけて訓練していました」

「呪いの腕輪じゃねえか!」


 そうとも言う。

 だが物事は表裏一体だ。

 アルケミストの行動は一見おかしく見えるけど理にかなっていた。


「でも、訓練で上げられる分は全部カンストしました」

「錬金術でポーション……いや、約束だ。明日から光魔法のものまねをして貰い、MPが切れたら俺が体術の訓練を行う。それでいいか?」

「明日からよろしくお願いします」


「回復魔法を覚えたら治癒クエストを発行するが受けてくれるか?今回復要員が足りなくて困っている」

「受けます!」

「なら決まりだ!3人の宿はすべて無料にする。掃除も洗濯も飯もすべてメイドがやってくれる。頼んだぜ」


「明日からよろしくお願いします!」

「宿に案内しますね」


 受付嬢に案内されると立派な宿屋の前にたどり着く。


「え?ここですか?」

「そうですよ?」

「立派過ぎる!」


「ギルド長期待の新人ですから、最高級ではありませんが、グレードの高い宿屋です」


 宿屋に入ると個室でしかも専属メイドではないが定期的に掃除・選択をしてくれるし、食堂に行けば質の良い食事をバイキングで食べる事が出来る。


 イメージとしてはビジネスホテルに近い。


 俺はシャワーで体を流し、ベッドに入るとそのまま眠りについた。




【チョコ視点】


 アキ君とお嬢様が眠った事を確認すると私は1人でギルド長の元に向かいます。

 すぐに受付嬢に連れられて応接室に入った。


「まったく、来るなら来るとあらかじめ言ってくれねえか?思わず敬語を使いそうになったぜ」

「きっちり普通の対応を出来ていましたよ」


「はあ、プリン様とチョコ様がいきなり来るもんだから内心驚いていたぜ。お姫様の護衛を付けるのに手間取っちまった」

「感謝します」


「お姫様に護衛をつけるならチョコ、貴族令嬢のお前にもつけるべきなんだがな?」

「私の事は大丈夫ですよ」

「そりゃ強さで言うなら問題無いがよ。公爵令嬢に一切護衛をつけないとなりゃ問題だぜ」


「私は大丈夫です」

「そこまで言うなら良いが、それにしてもありゃなんだ?」

「アキ君の事ですか?」


「そうだ。プリンも鍛え過ぎなくらい鍛えてやがる。だがアキは更に別格だぜ」

「最初はプリンお嬢様のやる気を出すために一緒に訓練を始めたのですが、ああなっちゃいましたね」


「不遇ジョブの、ものまね士でよくあそこまで鍛えたもんだ。ものまね士はレベルアップしにくく固有スキルを覚えられねえ。更に得意のスキル取得もレベル5で頭打ちのはずだ」

「アキ君を見ていて思うんです。ものまね士は本当に不遇なのかと」


「違うのか?」

「アキ君は訓練によって能力値を全部+100にした後、一日でレベル13になりました」

「はあ?何の冗談だ?」


「本当です。1日でレベル1から13になったんです。私の力を借りず独力でです」

「ものまね士はレベルアップに必要な経験値が2倍になるはずだ」

「はい、2倍でも1日でレベルアップしました」


「分かった。信じよう。レベルアップは効率よく魔物を倒せば出来る。やったんだろうぜ。だが、そうだとしてももう一つ、気になるのはスキルだ。アキの錬金術とものまねはレベル5を超えてやがる。ものまね士はスキルレベルが5になればレベルアップに必要な経験値が2倍になるはずだぜ。それにものまねはレベルは中々上がらねえはずだ。ありゃどういう事だ?」


「アキ君のものまねレベルは今7です。ものまねレベル7の効果を知っていますか?」

「いや、分からねえ」

「ものまねによるスキル取得経験値が+700%です」


「言いたいことが分かった。ものまね士は器用貧乏じゃねえ。大器晩成の万能型だ。そう言いたいんだろ?」


 チョコはにっこりとほほ笑み、頷いた。

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