第8話

 俺は毎日鬼ごっこやかくれんぼなど、遊びなのか訓練なのか分からない訓練を続けた。

 俺のスキルが伸びるとプリンは負けじと食らいついてくる。

 俺はプリンのやる気を出させる為にいるのかもしれない。

 だが、そのおかげで訓練を受ける事が出来た。




 アキ 人族 男

 レベル    1

 HP 41/57【+21】

 MP   5/69【+4】

 攻撃 60【+4】   

 防御   50【+18】

 魔法攻撃 55【+10】

 魔法防御 58【+28】

 敏捷   69【+1】

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ものまねレベル【3→5】』『短剣レベル【4→5】』『弓レベル【3→5】』『投てきレベル5【NEW!】』『炎魔法レベル3』『水魔法レベル3』『風魔法レベル3』『土魔法レベル3』『光魔法レベル【1→2】』『闇魔法レベル【1→2】』『HP自動回復レベル1【NEW!】』『スタミナ自動回復レベル【3→5】』『瞑想レベル【3→5】』『訓練効果アップレベル【1→5】』『速度強化レベル5【NEW!】』『隠密レベル5【NEW!】』『感知レベル5【NEW!】』



 朝起きると屋敷に集合し、チョコの気まぐれ訓練が開始され、お昼ご飯を食べる。

 瞑想をしてMPを回復してまた訓練再開、この流れで毎日を過ごす。


 更に攻撃ありの訓練を続け、HPが何度も減った結果HP自動回復も覚えた事で傷の回復も早くなった気がする。


 おかげで午後の訓練時間が延びた。

 ものまねレベルが上がった事で俺のスキルは急速に伸びていた。

 チョコの斥候能力は高かった。

 チョコは斥候なのかもしれない。


「午後の訓練は斥候眼のスキル訓練です」

「斥候眼?聞いた事が無いな」


「分析・暗視・遠目・透視のスキルの事ですよ」


 斥候の能力は生存能力に特化している。

 敵を感知して必要なら逃げ、必要なら捕縛する。

 食べられる草を探し、魚を採取し、生きて生還し敵の情報を届けるのが斥候だ。


「感知・隠密・速度強化を覚え、魔力操作に慣れたお嬢様とアキ君なら早めに覚えられるでしょう。まずはアキ君からです」


 チョコが俺に近づく。

 チョコと俺の顔が近づく。

 距離が近い。


「目を逸らさないでください。目をよく見て感知を目から出すイメージです」

「こう、かな?」


「そうです。続けてください。もちろんものまねも発動してください」

「ぐ!」

「そのまま私の目を見てください。順番に使います。分析・暗視・遠目・透視!」


 俺はものまねで再現しようとする。


「分析・暗視・遠目・透視!」


『分析レベル1を取得しました』


『暗視レベル1を取得しました』


『遠目レベル1を取得しました』


『透視レベル1を取得しました』


「え!もう覚えたんですか!凄すぎます!」

「たまたまかな」

「たまたまでは覚えないわ」

「今までの努力ですね」


「くっつきすぎよ!」


 プリンを見ると頬がふくらんでいた。


「仕方ないです。お嬢様が覚えていればアキ君に斥候眼を教えることが出来ますが出来ませんからね。さあ、後2セット行きますよ。アキ君」


 さっきよりチョコの顔が近い。

 絶対遊んでいる。

 俺を恥ずかしがらせつつプリンを怒らせて遊んでいる。


 プリンが横で口を挟む。


「私は?私はいつ覚えるの!?」

「アキ君、目を逸らさないでください。キスをするくらい近づいてもっと見てください」


 俺は3セット斥候眼のものまねを使い、目を押さえる。


「あれ、目が痛い」

「筋肉痛の様なものです。すぐに慣れますよ。次はお嬢様の番ですがアキ君みたいに出来ますかねえ?」


 凄い、まだ挑発してる。


 プリンが斥候眼の訓練を始める。


「違います。もっと魔力を目に集中させて、目から感知を出すイメージです」

「く、こう?」

「出しすぎです。それではすぐに魔力が無くなります。斥候眼はMPを消費せずパッシブで使えるスキルです。もっと反復して繰り返す必要があります。このままだと私が毎日毎日アキ君に教えちゃいますよ」


 パッシブで常時発動か。 

 まだそこまで使えていない。

 レベル不足なのかもしれない。


 結局その日、プリンは斥候眼を習得出来なかった。




【次の日】


 プリンは左目に眼帯をつけていた。


「だ、大丈夫か?」

「大丈夫よ」

「大丈夫です。訓練を続けましょう」


 俺は隣国との戦争が近いのだと、そう思った。

 チョコは、プリンを早く鍛えておきたいんだろう。


 プリンの眼帯姿は異様に似合っていて、ゴスロリを思い出した。

 訓練を続けるプリンは笑顔だ。


 目は痛めているけど問題は無いだろう。


 


 チョコのスキル上げは進み、俺は斥候能力は強化された。

 俺は11才になった。




 アキ 人族 男

 レベル    1

 HP 62/62【+5】

 MP   70/70【+1】

 攻撃 60   

 防御   58【+8】

 魔法攻撃 58【+3】

 魔法防御 58

 敏捷   76【+7】

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ものまねレベル5』『短剣レベル5』『弓レベル5』『投てきレベル5』『炎魔法レベル3』『水魔法レベル3』『風魔法レベル3』『土魔法レベル3』『光魔法レベル2』『闇魔法レベル2』『HP自動回復レベル【1→3】』『スタミナ自動回復レベル5』『瞑想レベル5』『訓練効果アップレベル5』『速度強化レベル5』『隠密レベル5』『感知レベル5』『分析レベル5【NEW!】』『暗視レベル5【NEW!】』『遠目レベル5【NEW!】』『透視レベル5【NEW!】』




 スキルレベルが5になるとレベルアップしなくなった。

 5になるとレベルアップに必要な経験値が2倍になる。

 ものまねスキルのデメリットだ。


 最大レベルは10だけど……5はベテランだ。

 悪くはないけどスキル取得の効率が落ちて来た。

 違うスキルも覚えたい。


 魔物狩りをしたいとチョコに言いに行ったが「まだ早いですよ!」と怒られた。


 他のスキルを教わろう。

 そう思っているとチョコが笑顔で近づいてきた。

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