ピンチと打開
「ア、アレス、最低!!」
なんとでも言え、エミリア。もう俺は開き直るぞ。エミリアのあられもない姿を想像してやる。そして、その相手はすべて俺だ!
「アレス……あんた、え? そんなところまで? や、やだぁ……! ああ……!」
頬を赤らめたエミリアが足を震わせその場に座り込んだ。
俺のエミリアを使った妄想は止まらない。
しかし、決定打が無いぞ。どうする?
「ア、アレスさん……。」
「カテリナさん!?」
気付くと俺の足下まで、カテリナさんが思うように動かせない体を引きずって来てくれていた。
おそらく、レベルが低いモカたちと、俺にレベルを貸してレベルが下がっていたシエルは魔王の手下のスキルに操られた。レベルが高かったユーリ様とカテリナさんは操られることは回避できたが、精神的大ダメージを受けて倒れてしまっていたのだ。
「アレスさん……私のレベルを使ってください。今のうちに。」
「し、しかし……。」
「大丈夫、いけます……。Aランクの私を舐めないでください。」
「わかりました、カテリナさん。お願いします!」
カテリナさんが力を振り絞って俺に飛びつくと、腕を首に回してレロレロと俺にキスをする。
それは一瞬のことだったのに、俺の脳内は快楽で真っ白になった。すごい技だ、カテリナさん! これがAランクの本気! やばすぎるぜ!
同時に「きゃあ!」とエミリアが叫ぶ。
「な、何? 今のは!? 何が起こったの!?」
どうやら俺が感じたドライな絶頂はエミリアにも伝わったらしい。
「アレスさん、頼みましたよ……。」
カテリナさんが満足した顔で俺から離れた。
俺の今の戦士レベルは、たぶん88!!
俺は俺の体を縛っていた影を振りほどく!
「エミリア! 今そっちに行くからな!」
「いや! アレス、来ないで!」
無理だ! 行く!
エミリア、こんな可愛かったのか。強さとプライドという鎧を脱いだ女勇者エミリアは今、俺の前で一人の女になっている。
赤らめた頬、潤んだ瞳、しっとりとした肌に浮かぶ汗、漂ってくる女の匂い、今すぐこの腕の中に抱きしめたい!
「ア、アレス……。ほんとに、ちょっと待って。まだ、心の準備が……。」
「俺の気持ちは充分伝わっているはずだ、エミリア。」
「それは、伝わってる……。伝わってるけど、そんなに私を……?」
「そうだ。」
レベルが急上昇した俺に出来ないことは何もない。
俺はエミリアの横の魔王の手下に触れた。相手に触れるだけでスキルの奪取と俺への付与。更に魔王の手下からレベルも奪ってそれも俺に付与する。
「エミリア。お前を解放する。」
俺は魔王の手下のスキルでエミリアの呪いを解いた。
さらさらと光の粒子になって崩れていく魔王の手下。思えば、こいつも何だったのかよくわからなかったな。
そして、エミリアの体を覆っていた漆黒のドレスも同じく、光の粒子となって消えていった。
「きゃあ! は、裸!?」
「綺麗だぞ。エミリア。」
俺はエミリアの手を握って、エミリアの瞳を見つめた。エミリアがたまらなく可愛い。
「アレス……。」
「お前を抱きたい。いいか、エミリア?」
「でも、私……アレスに酷いことを……。」
「ふっ。お前は魔王の手下に操られていたんだ。全部あいつのせいだ。」
「そ、そうなのかな?」
「そうさ。」
魔王の手下から奪ったスキルで少し誘導しておくか。
今の俺はエミリアの心の中も見えるし、操ることだって可能だ。
もちろん、完全に操った女とやっても気持ちよくないからな。少しだけだ。こんなスキル、積極的に使いたいとは思わないが。そんなことしなくても俺には女の方からいくらでも寄ってくる。
俺はエミリアの唇を奪う。舌を入れる。
今ならエミリアがどうして欲しいか、どこが感じるか、手に取るようにわかる。
「んん……アレス……。」
「エミリア。いいよな?」
「……うん。」
エミリアの肌に触れる。
「あ……。」
これでエミリアも俺のもの。
シエルたちはもう少し寝かしておこう。
俺がエミリアと気が済むまでやってから起こしてやればいい。
◇
「え!? 終わったの! お兄ちゃん!?」
「ああ、すべて解決した。」
俺の腕に絡みついて離れないエミリアを見て、モカたちはすべてを察したらしい。
「あぁ……。勇者様まで……。」
シエルがため息をついた。
「シエル。レベルを返す。エミリアを助けられたのは全部シエルのおかげだ。助かった。」
「あ、はい。」
俺はシエルにそっと触れるとレベルを返却した。
同じようにカテリナさんにも借りていたレベルを返した。
そうしてもなお俺のレベルは99を超えている。魔王の手下から奪ったレベルでお釣りがきているのだ。
念のため、魔王の手下のスキルで俺はみんなの心の中を覗いた。
シエルは諦め。アミは嫉妬。二人にはフォローが必要だな。モカとマリアンヌは素直に喜んでいる。クレアは俺への信仰度が上がったようだ。カテリナさんは俺とやることしか考えてない。こんな人だったとは……。
おや、ユーリ様だけは心を読み取れない。
「アレス君。ものすごい力を手に入れたようだね?」
「はい、ユーリ様。これさえあれば、魔王にだって勝てますよ。」
「それはどうかな……。私は恐ろしい。魔王の手下でさえ、未知のスキルを持っていたのだ。」
それはあなただってそうなのでは? 不老の魔法に加えて、魔王の手下のスキルを撥ねのける何かをまだ隠している。
「さ、お兄ちゃん。今度こそ帰ろう?」
「ああ、そうだな! みんな帰ろう!」
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