いまさら出てきてももう遅い
Dランクダンジョンとレアドロップ
アミともマリアンヌともモカとも関係を持ってしまった俺は、俺の付与師のスキル『愛の付与』について三人に説明をした。この関係を続ける限り、無関係ではないからだ。
「それで私のレベルが上がっていたんですか? すごいです、アレスさん。」
「なんかそれって良いことじゃん? 先輩とすればするほどレベル上がるってことでしょ?」
「じゃあ、私が一番レベルが低いから、私が一番お兄ちゃんとしないといけないってことだよね!?」
三人とも歓迎するような反応を見せる。まあ、何かデメリットがあるようにも思われないしな。俺は『愛の付与』を有効活用することに決めた。
それから毎晩、交代で三人が俺の部屋を訪ねてくる。俺は三人を抱く。詳細は省くがこの世界ではいくらやっても妊娠の心配はない。
おかげでこの短期間で、モカが魔法使いレベル14、マリアンヌが剣士レベル15、アミがアイテム士レベル16までレベルを上げることができた。
俺も単純な戦闘には積極的に参加するようになっていた。もうモカたちに泥臭いレベル上げは必要ない。夜の営みでのレベル上昇の方が圧倒的に効率がよかったからだ。
Dランクダンジョンのボスがいる地下7階の推奨レベルは18。俺がモカのパーティに入って三ヶ月か。この調子なら半月後には攻略できるな。
俺は一振りでモンスターたちをなぎ倒す。
「もう先輩だけで十分じゃない?」
「アレスさん、カッコいい……。」
「お兄ちゃん、こっちもお願い!」
三人が戦いの手を止めて俺に手を振っている。
「こら! お前ら、ちゃんとやれ!」
まったく、レベル上げが楽になったからって気を抜くなと言っているのに。もう少し実戦経験が必要か? だが、以前ほどの不安はない。確実に三人は冒険者としても成長している。これからの育成計画を練り直すか。
俺は最後のモンスターにトドメを刺した。
◇
冒険者ギルドの受付兼待合所。俺が少し遅れてギルドに到着すると、モカたちの前に男がいた。あれは確か……。
「よう、モカ。久しぶりだな。今日は兄ちゃんはいないのか? 今レベルいくつだよ?」
「ディアン。あんたには関係ないでしょ。」
「俺はもうレベル17だぜ?」
「だから何?」
ディアン。モカの同級生。
なんだこいつ。俺がいないと思ってモカにまたちょっかいをかけに来たのか? 俺は少し離れたところで様子を覗う。モカたちは俺に気付いたようだ。
「モカ。俺たちのパーティに入った方がレベル上がるぜ? そっちの二人も歓迎するぜ?」
「そんなわけないでしょ。」
「無視しましょう。」
マリアンヌもアミもディアンのことなど、はなから相手にする気がない。
ディアンはめげずに話を続けようとする。
「なあ、俺と勝負しろ、モカ。俺が勝ったら、女三人は俺たちのパーティに入る。」
「はぁ?」
モカがディアンを睨み返す。
「もしもモカが勝ったら俺はもうお前には話しかけないと約束する。どうだ?」
「……どんな勝負よ?」
ディアンがにやりと笑ったのを俺は見逃さなかった。ったく、モカも相手の話のペースに乗ってしまうとはまだまだガキだな……。
「いいか? Dランクダンジョンにはレアドロップ『虹の宝玉』を落とすモンスターがいる。おっと。どのモンスターかは教えられねえ。その『虹の宝玉』を先に手に入れた方が勝ちだ。」
こいつ、バカか? 『虹の宝玉』は地下八階、虹色ガエルのドロップだ。確か確率は5パーセント。レアはレアだが、非現実的な確率ではない。
俺は無言でモカの横に立った。「うっ」と言って、ディアンが半歩後ろに下がる。ディアンは俺とは目を合わせようとしない。
「なるほど、その条件ならパーティのレベルは関係ない。確率だけの問題だからな。しかし、普通そんなギャンブルで勝負するか? だいたいこういうのは勝てる可能性があるから条件にするもんだ。」
ディアンの額に汗がにじむ。目が左右に泳いでいる。
「お前、もう持ってるんじゃないのか? そんな勝負を受けるわけないだろ。」
「くそっ!!」
ディアンは吐き捨てるようにそう言った後、冒険者ギルドを出ていった。
あいつはモカのことが好きなのだろうが、残念、モカはもう俺の女だ。今さら何をしようともう遅い。
「んっ……。」
俺は誰からも見えない角度でむにむにとモカの尻を揉んだ。
モカは俺にされるがまま、黙って身を任せている。
「モカ、今日の夜はお前の番だったな。」
「うん、お兄ちゃん。」
「いつもより愛してやるからな。」
「うれしい。」
俺はモカを手放すつもりはまったくない。義兄妹はある日突然男と女になることがあるんだ。憶えておけ。
◇
夜の一戦を終えて今、俺の胸の上には何も身につけていないモカがいる。
俺がモカの頭を撫でていると、モカがポロリと言った。
「……ねえ、お兄ちゃん。昼間はああ言ったけど、私、あいつには負けたくないよ。」
「あいつってディアンか?」
「うん。あいつとの勝負なんてもちろん受けないけど、レアドロップは取りに行きたい。そしてレベルも追い抜きたい。あいつに負けたくないの。」
「……そうだな。」
モカたちがあいつより強くなればもう鬱陶しい真似はしなくなるだろう。
それに『虹の宝玉』は高値で売れる。Cランクダンジョンに上がる前に装備は揃えておきたかったから、手に入るならばDランク攻略を早めてもいい。
「よし、明日から地下八階に下りよう。」
「ありがとう。」
「ふっ。それよりモカ。俺の部屋で俺以外の男の話をするな。」
「え? ごめんなさい、お兄ちゃん。」
「冗談だよ。」
俺はモカを抱えて体勢を変えた。
これからまたお前を俺でいっぱいにしてやるからな。
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