第3話 出航
「武蔵」艦橋。基本航海はAIが操艦するので、艦橋メンバーは生徒会役員そのまま、艦長の帆華(会長)、副長兼砲雷長の美海(副会長)、航海長の凪沙(広報)、船務長の七海(会計)の4人。
普段から一緒にいるメンバーなので息はピッタリ、普段と変わるのは呼び方だけ。
「さぁ、参りましょう。全艦、出港準備お願いします。」帆華の凛とした声が響く。
「艦長!全艦出港準備了解デス! 武蔵、タラップ収納完了! 大桟橋停泊アーム解放確認! 艦内システムオールグリーン! 武蔵出港準備完了! 第一護衛艦、第二護衛艦、第三護衛艦共にシステムオールグリーン、全艦出港準備完了デスッ!」
ミミが各護衛艦AIとのコントロールモニターを確認して報告した。
「了解しました副長。それでは周年祭記念艦隊、全艦出港お願いします。 武蔵、両舷前進微速、武蔵を先頭に護衛艦は単縦陣で外洋まで航行してください。」
武蔵がゆっくりと動き出し、各護衛艦のコントロールモニターも「航行中」の表示に切り替わった。
艦隊が単縦陣形に揃ったところで艦長から指示が出た。
「航海長操艦。目標、地球連邦政府本部、両舷前進原速でお願いします。」
「航海長操艦了解っ! 両舷前進原速! 機関長、よろしくっ!」
凪沙がノリノリで操艦を受け取った。
翌朝、当直のミミが艦橋に差し込む朝日を浴びて、大きく伸びをした、その時、MAI(武蔵AIの愛称)が友軍周波数での無線を受信し、内容から緊急通信と判断して艦内にアラートレベル3が発令され、同時に艦橋には受信中の無線が流れ出した。
「・・・SOS、こちら・・・ SOS、こちら極東艦隊・・・ グロワース艦隊の襲撃を受け・・ ・・・」
ミミが艦長室へ電話をかける。
「ミミさん。アラートレベル3、どう致しまして? 状況は如何ですの?」
「艦長! 連邦軍艦からのSOSを受信中デス!」
「SOS? 通信をこの電話とも繋いで頂けますか?」
「了解デスッ。 MAI、艦長室の電話を無線通信と繋げるデスッ。」
「了解。通信接続。」MAIが音声で返答した。
「こちら周年祭記念艦隊武蔵、応答願います。」艦長が呼びかける。
「・・・こちら極東艦隊、あけぼの。 武蔵?学生艦か。 現在当艦隊は・・・
襲撃を・・・ 学園都市へ引き返せ・・」距離があるらしく通信状態が良くない。
「こちら武蔵、通信状態が良くないため、再度お願い致します。」
「・・敵の襲撃だ! 学生艦は学園都市へ引き返せ! うおぉあぁっ・・」
通信が途切れた。
「あけぼの、応答願います。 あけぼの、応答願います!」艦長の呼びかけにも返信は無い。
「副長、アラートレベルを2にあげて下さい。全艦反転、学園都市へ帰還します。監視ドローン、艦隊後方へ展開してください。」
グロワースが地球侵攻した際の戦闘で衛星軌道上の人口衛星を双方破壊し尽し、以降どちらが打ち上げても破壊し合い、結局双方とも衛星の運用が出来ない現在では、地上レーダーのみが有効で、範囲を広げるためには監視ドローンで補完するしかない。
「了解デスッ! アラートレベル2発令! 全艦回頭180度、目標学園都市。監視ドローン発艦デスッ!」
艦隊は反転後、武蔵を先頭に学園都市へ向け単縦陣が整ったその瞬間。
護衛艦コントロールモニターが非常時表示に切り替わり、MAIが音声報告を始めた。
「第三護衛艦AIより通信、我、敵機補足、距離、後方30キロ、機数6。」
「もう、いらしたの!? アラートレベル1発令! 全艦、最大戦速で現海域を離脱。全護衛艦は防衛行動許可、全武装使用許可! 武蔵、戦闘配置!」
艦長の声が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます