シナリオ

ひるなかの

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 屋上までの階段を駆け上がっていく。

 机の中に入っていた『放課後 屋上で待つ』と書かれた紙を握りしめて。

 息を荒くして屋上のドアを開けるとそこには――


「龍門寺くん?!」


そう、龍門寺くんだ。


龍門寺くんは勉強もできてスポーツもできてイケメンで明るくて学校で女子に超人気な男の子だ。

そんな高嶺の花・龍門寺くんは私に何の用なんだろう・・。




 すると、龍門寺くんは私に近付いてくる。


「いつも笑うあんが好きだ。付き合ってくれ」


 龍門寺くんが私に腰を折って手を差し出す。



こ、これってもしかして告白!?

ど、どうして龍門寺くんがこんな平凡な私に?!

これって夢?!



 すると、龍門寺くんが急に頭を上げた。


「そっか・・ごめん。その気がないならいいんだ。忘れてくれ」


 龍門寺くんはそのまま帰ろうとしはじめる。



え!?待って!龍門寺くん!

違うよ!突然のことで言えなかっただけなの!

行かないで!私は!



 私は龍門寺くんを繋ぎとめたくて後ろから抱きしめる。


「私も・・・龍門寺くんが好き」




















「好きぃ~~~~~~~~~~っ!」


背中でジタバタと足をばたつかせ、声を甲高くする彼女にため息が出そうになる。

いつまでこんなことを続けるつもりなんだろうか。

そもそも僕は、龍門寺ではなくだし、大して女子に人気になるような顔の良さやスペックなんて持ってない。


彼女は素朴な彼氏に何を見出しているんだろうか。

どうして、こんなに何度も告白ごっこをやりたがるんだろうか。



・・・・僕はなんでこんなことしてるんだろう・・。



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