異世界転生なんて冗談じゃないと言いたい所存 ①
異世界転生とは、読んで字の如く死んだ人間が異世界に転生するというものだ。
昨今ではラノベのそれが主流となっているが、元々は輪廻転生。
死した者が次の生を得るための生命の理でありルールだ。
俺も今や死人。
転生するべき人間だ。
だから転生そのものに異論はない。
だが────
「異世界なんかに行きたくないぞ。 戦うのとか怖いし」
俺も過去に中二病を拗らせ、なんだかんだ今でもそういうのに心ときめくオタクのはしくれ。
しかしそれは二次元のみの話。
リアルにはやりたくない。
「だよねー、わかるー。 痛いのとか嫌だしねー」
共感してくれるのは有難いが、送る側が共感してどうする。
まあ乗っかるが。
「だよな! 血、怖いよな! て事で、異世界転生は無しの方向で! 地球に再転生を頼む」
「あ、それはちょい待ち。 地球に再転生は、ちっと柊っちの要望通りにはムズいんだよねー。 詳しくはこれ見てみ」
ギャル女神はそう言うや否や、指を鳴らす。
直後、俺の目の前に二枚のパンフレットが急に現れた。
「これは?」
「一応地球に再転生か、異世界転生か選べるんだけどさぁ。 それ読んでから選ぶのもアリじゃね? みたいなー」
まさかの選択式。
異世界か地球か選べるとか前代未聞である。
だが確かに一度は目を通しておくのは必要かもしれない。
ギャル女神がさっき言った『俺の要望通りにいくのは難しい』という言葉も気になるところだ、と。
「わかった、なら取り敢えず読んでみるわ。 再転生から意見は変わらないと思うけどな」
俺はひとまず『輪廻転生編』と書かれたパンフレットを開いてみる。
「えーと、なになに……」
輪廻転生についての概要。
地球に再転生する場合、いかなる理由であろうとも以下の条件が必須となります。
1、転生対象はランダム。
2、チート能力などの特殊能力付与の不可。
3、前世の記憶は消去。
1についての補足。
「人間が転生対象とならない場合があります……!? ちょ、どういう意味だよこれ!」
「ああー、それ。 いわゆるガチャみたいな感じ?」
命の再スタートをガチャとか言いやがったぞこいつ。
にしてもガチャか。
さしずめ、転生ガチャと言ったところだろう。
……転生ガチャとかキツすぎるんだが。
「例えばなんだが、人間はどのくらいの排出率なんだ?」
「んー、最近は少子化とかで人口減ってるから人間に転生できる可能性は高いと思うけどー。 つっても虫の方が多いのは間違いないし、六パーセントくらいじゃね?」
ろ、六パーセント。
そうか、転生先には虫なんかも含まれるのか。
……リスクが高すぎるだろ、転生ガチャ。
一回しか引けないんだぞ。
「なあ、他に再転生する方法は無いのか? 流石に転生ガチャは嫌なんだけど」
「悪いけど、それ以外は再転生不可能じゃんね。 嫌なら異世界転生するしかないっしょ」
予想はしていたが、やっぱりそうなるのか。
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