第6話使用人達の場合
「今日もメロディ様とニコライ様の真実の愛を見守ろうぜ」
「「おお」」
「しかし、ガーデェンパーティで給仕した者達は辞めていったな。メロディ様とご両親も部屋から出てこない。お労しい。また、地味令嬢からイジメを受けたに違いない」
「それな。お、あいつがいた」
ミヤが先輩と呼ぶメイドはシェリーの食事を運んでいた。
そう、食事は別になり、使用人と同じ食事を食べさせられていた。
しかも、異物が入っている事件があってから、先輩が作って、持って行く。
シェリーは先輩が運んでくるものしか食べられなくなっていた。
しかも、
「おおーーーと、滑った」
「キャーー」ガチャ、
「地味令嬢のメイドも地味で気が付かなかった。お前が悪いんだからな」
「「ギャハハハハ」」
使用人から嫌がらせを受けるので、1日に一回は欠食する。
・・・ジーと物陰から見ている黒髪で青目がかったメイドがいた。
(さすがに・・食べ物で返したら・食べ物になってくれた動植物ちゃんへの・・冒涜よね)
☆
「え、売ってくれないって?」
軒並み食料業者がスレンダー家と取引中止になった。
「ああ、あの方から、食べ物を粗末にする輩には売るなって御達しがあった」
「そ・・そんな。俺たちの賄いは・・街で食事だ」
「ええ、あんた、スレンダー家のとこの使用人だろ。うちでは出せない」
やっと買えたのは、場末の屋台
☆
「おい、見ろ!」
ガーデンで炭火焼きが行われていた。
シェリーの目の前で、海鮮や、牛肉などが所狭しと焼かれていた。
「こ、こんなに食べられないよ。もったいないよ。ミヤさん。」
「ミヤ・・とお呼び下さい・・さすが、シェリー様、しかし、ご安心を・・手を付けなかったものは・・孤児院へ責任を持ってお運びします・・さあ、先輩も・・どうぞ」
「美味しい。パンもフワフワ・・・」涙ぐむ二人。
執事長、メイド長その他、使用人達は集まり、抗議をする。「自分たちが飢えているのに酷い」と抗議。
「さあ、シェリー様・・・」
シェリーは使用人達が怖い。目が怖い。
しかし、立ち上がって、震えていたが、先輩が肩をそっと手を添える。
「あ、貴方たちは解雇です、次期当主である私への不敬、私の専属メイドに対する暴力は絶対に許しません!荷物をまとめて出て行って!・・グスングスン」
パチパチパチ、ミヤが拍手をする。先輩も拍手をする。
「何だと、地味令嬢が、俺たちは真実の愛のためにイジメをするお前を懲らしめていたんだ。俺たちがいなくなったら屋敷は回らねえぞ、うん?」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
拍手が段々大きくなってきた。
騎士数人と、新しい使用人達が数十人が、拍手をしながら庭木の陰から出てきた。
「え、こいつら、王都の使用人ギルドの・・」
どう見ても、自分たちよりも格上の使用人達。
「私がお仕えするスレンダー伯爵令嬢が、こんな立派な方だったなんて、小官は嬉しいです。ええ。分ってますよ。ミヤさん」
「さあ、さあ、シェリー嬢とミヤさんの先輩のお食事の邪魔だ。お前ら、使用人棟に荷物を取って出て行け。出て行かないと不敬罪で斬るぞ。異議のある者は一歩前へ出ろ」
執事長が抗議をするために一歩前に出るが
「それもヨシ」と腕を切った。
尚、その際、ミヤがわざとらしく、「あれー」とよろけてシェリーの視界を防ぎ、その間に、騎士達が、ワッショイワッショイと塀の外に執事と腕を投げ捨てた。
「こいつらヤベー」と使用人達は駆け足で、使用人棟にいったが、「何だこりゃ?」
使用人棟の隣に、カンコン、カンコン、新しい使用人棟が工事されている。
昨日までなかったが、もう、屋根まで出来ている。
「後一週間は掛かります。ええ、それまで新しい使用人の方々は、街の宿で、馬車をピストン輸送で通いですね」
と話している打ち合わせをしている商会人の声が聞こえる。
「へ、お高くとまりやがってよ。俺たちが使った部屋じゃ寝れなってか?」
荷物をまとめて、こんな外道屋敷から出て行こうとすると、最初の一人が、異変に気が付いた。
「あれ、あれ、鍵が掛かっている。出て行けねえぞ」
「おい、窓も、板が打ち付けられている」
「閉じ込められた!」
ドンドンドンドン・・・三日三晩ドンドンが聞こえ、やがて音は小さくなっていった。
2週間後、腹が減って動けない元使用人達。
そこに、粥が入った鍋を持ったメイドが来たという。
「あら・・・まだ、出て行かれていないのですか・・・」
「めし~めし~~」
皿に粥をよそおうとしたが、その寸前で、ピタリと動作を止め
「ねえ、シェリーお嬢様は・・・次期当主なのに・・貴方たちが異物混入したせいで・・怖くて・・数日食べられなかったことが・・あったそうよ・・どう思う?」
「めし~めし~~」
「ダメね。答えは一つじゃないわ・・でも・・めしではダメね・・もう一回ね」
数時間後、彼らはやっと粥を食べられたと伝え聞く。
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