第4話父の場合

 メロディはガクガクブルブル震えていた。


「お父様、お父様、あのメイド、ヤバイ、ヤバイ」ガクガクブルブル


「何があったんだ。可愛いメロディ、そうか、また、シェリーがイジメめたんだな。お父様に任せなさい。お仕置き部屋に押し込んでやる」


 父親は、メロディがいつも言うように、また、シェリーがイジメたと思い。シェリーの部屋に向かった。


 いつも、いつも父である私に生意気な態度を取る。厄介な娘


 ☆「父上、この書類にサイン出来ませんわ」


「何故だ、義妹が可愛くないのか?」


「父上、お家騒動の原因になりますわ。メロディを養子にすると筆頭分家のミリー様の努力が無駄に、キャ」


 シェリーは父親に頬をはたかれ、床に膝を付いた。

「全く、誰に似たんだか。可愛げのない!」


 しかし、ニコライ君がメロディを気に入ってくれて助かった。

 メロディに伯爵家の総領娘の跡を継がせ、ニコライ君と結婚させれば、向こうも無下には出来まい。


 _______________________________


「何だ。これは?」

 シェリーの部屋のドアが鉄製に変っている。

 しかも、ドアに妙な物がはり付けられている。


 透明な容器、プニュプニュ柔らかい。水が入っていて、赤いロープなようなものがグルグル巻かれている。

 それが、ドアノブにまで伸びている。


 父は憤慨した。

 小癪な娘め。お仕置きを恐れて、ハッタリで誤魔化そうとしているんだな。

 見たところ、魔道具の真似か。あいつにそんなもの買える小遣いを渡していない。

 何と愚かな娘だと。




「シェリー、いるんだろ!また、お前は義妹をイジメたな!」


 カチャ、ド~~~~オン

 部屋のドアノブを回した途端に爆風に巻き込まれた。


「ギャアアアアアアアーーーー」


 透明な容器が爆散して、水が鉄のドアに反射して、父に向かってすごい圧力で向かって来た。


「グギャーーーーー」

 父は吹っ飛び壁にぶち当たり、そのまま倒れ込んだ。


 部屋の中から、ホウキを持った掃除中と思われる新人メイドで出てきて、ドアを確認する。

(・・もうちょっと水を増やしても・・ドアに傷は付かないわね・・)


「旦那様、ノックをして下さいませ・・と通達を出した・・はずですが?」


「・・・・・・・・・・・・」


「ダンマリでございますか?・・今の時間・・いつも・・シェリー様は、執務室で・・帳簿をおつけになってますわ・・・ご存じなかったのですか?」


「あら、肉が飛び散ってますね・・あら、あら・・私も女性ですの・・・内臓をお見せになられる趣味を披露されても・・困ります・・目の毒なので・・今、臓物を治して・・差し上げますわ」


「えい」と内臓を腹にしまい。


 ポケットから、ポーションを取り出し、かける寸前で動作を止めた。


「いくら、代行様でも・・次期女伯爵である・・シェリー様のお部屋に・・入るときは礼儀が・・必要よね。ご理解頂けました・・か?」


 伯爵代行は

「・・・・・・・・・・ヒーヒー・・ヒー」としか答えられない。


「まあ・・いいわ・・手遅れになったら、シェリー様、悲しむか・・も。一応実親だ・・しね」


 とポーションをかけるメイドがいたという。


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