第2話スレンダー伯爵家

「ニコライ様、ご到着」

 馬車を降りロビーで新顔の執事からお出迎えを受けた。


「スレンダー伯爵夫妻とメロディ嬢は?」

「そのまま、ガゼボにお向かい下さいませとの言付けでございます」


「うん?今日はシェリーと会う前に、3人と会う約束だが」


「伯爵代行と奥様とメロディ嬢はニコライ様とお会いしないと申しております」


「???何そんなはずはない。いつもの執事を出せ。お前じゃ話にならない!」

「先月、大けがをして退職をなさいました」


「シェリーか?シェリーの仕業か?」


「・・・・・・」


 僕は止める使用人達を振り切って二階の日当たりの良いメロディの部屋に向かった。


「おーい、メロディどうしたんだ。僕だ入れてくれ」

「おやめ下さい」


 ち、また新顔のメイドだ。いつものメイドはメロディの部屋まで手引きしてくれるのに。あの可愛いピンクの色彩の部屋。いつまでいても飽きない。

 シェリーは手も握らせてくれないのに


「どけ」ドンドン、ガチャ


「ヒィ、わ、私は、居候のメロディです。シェリー様の妹なんておこがましい卑しい平民の娘です~~ニコライ様とは結婚できません!」


 ピンクブロンドのメロディを中心に夫妻が抱き合いガクガクに震えていた。


「ニコライ君、私はスレンダー伯爵代行、シェリーが家を継ぐまでの中継ぎにしかすぎない。次期伯爵はシェリーだけだ」

「ニコライ様、私は酒場の酌婦です。とうていシェリー様の母親など、おこがましい」


「「「ニコライ様(君)、どうか今までの事を忘れてシェリーと会ってくれ」」」


「一体、何があったのか。説明してくれ」

 3人は当たりを見渡し、新顔のメイドに聞こえないように小声で話し出した。


「シェリーには外道メイドがついている」

 ガクガクブルブル

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