婚約破棄と外道なメイド

山田 勝

第1話プロローグ

「ライライ~~~ダメよ。貴方にはお義姉様が~~シクシク」

「ああ、僕の愛しいメロディ泣かないでおくれ、イジメをするシェリーとは婚約破棄をして、君と婚約する。受けてくれるかい?」

「ああ、嬉しいぃ」


 ガッチリとホールドする二人。


 良くある婚約破棄、道ならぬ恋で、貴族の義務を放棄したと平民墜ちする話は良く聞く。


 しかし、僕は違う。ちゃんと義理親になる伯爵様に許可を取ったからだ。

 僕は伯爵家の三男、婿入りする。向こうの総領娘と結婚すればいいんだ。家と家との結婚、共同事業をするための政略結婚さ。


 僕の婚約者は生まれながらの伯爵令嬢・・気位が高くて、いつも、小言を言う。やれ、勉強をしろ。剣の練習をしろ。領地経営の勉強をしろ。うっさい。

 しかし、そんな僕を慰めてくれたのは、義妹のメロディ。いつしか彼女と恋に墜ちたって不思議じゃない。いや、運命だ。


 義理父になるスレンダー伯爵は、メロディを総領娘にすると密約してくれた。


 だが、意地の悪いシャリーは、メロディを伯爵家の養女にする書類にサインしない。

 メロディの母親が平民だからに違いない。ふざけている!


 全く意地の悪い女だ。


 シェリーと月に一回のお茶会、いつもは気が滅入るけど、今日は違う。

 友人達とスレンダー伯爵夫妻とメロディーと共に義理妹を虐めた罪を断罪し。詫びにメロディーを伯爵家の養子にする書類にサインさせる。


 そして、

 婚約破棄をして、メロディと婚約発表、シェリーは老人貴族の後妻に嫁げせる。いい気味だ。ハハハハ


「え、来れないってどうゆうこと?」

 次々と今日の断罪の場に証人として来てくれる友人達から断りの礼状が届いていた。


「坊ちゃま。お考えお直しなさいませ・・シェリー様と結婚し、スレンダー家を支えなさいませ」


「うるさい!爺、これはもう決まったことだ、向こうの義両親も納得されている」


「おい、ニコライ」

「父上!」執事は礼をして部屋を出る。


「父上、聞いて下さい。シェリーは自分の義妹に、酷いイジメをするのです。そんな女と結婚できません。シェリーはスレンダー家の使用人からも嫌われている意地の悪い女です。スレンダー伯爵もメロディを跡取りにするとおっしゃってます。僕は貴族の義務をおろそかにしてません!」


「スレンダー伯爵代行殿だろ・・お前の言っていることはどうでも良い・・仮にイジメがあったとしても、仮に意地が悪くて嫌われていても、仮に醜女であったとしても、お前、イセ辺境伯がシェリー嬢の後見人って知らないのか?」


「知ってます!あの辺境の野蛮人どもでしょう!」


「お前、口を慎め・・私は言ったからな」


 父は背を向けニコライの部屋を出た。外では母親のすすり泣く声が聞こえる・・「母上まで」


「「ニコライ、考え直せ」」


 兄上達までロビーで説得してくる。


「兎に角、時間だから馬車を出してくれ」

「・・・畏まりました」

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