第37話 疫病
一夜が明け、俺たちは片付けを終わらせ、再び出発した。
「あ、あと少しです!!」
「やっとか」
時間はだいぶかかったがそれでも早いとか。
しかし、村を救ってほしいというけど、一体何が起こってるんだ?
特に詳しく聞いてはいないが……。
「ここです……」
雑草をかぎ分けながら、歩き、そしてその先には……。
驚きの光景が広がっていた。
「これは……な、なんだ?」
痩せ細ったウサギ族の民衆。
「疫病か……」
「え、疫病!?この世界にもあるの?」
アルカディアが驚きの顔を見せるがアスティアとパウロは頭上に?マークが浮かんでいた。
「とにかく、早く対策しないと、ここにいるウサギ族、みんな遅くても1年以内には全員死ぬぞ」
ここまでひどいとなると、おそらくかなり身近なものが感染源になっている可能性がある。
「パウロ、ここの生活排水はどこから汲み上げているんだ?」
「え、あ〜〜w〜と、確か、この森のもう少し奥にある池からだったはずです…」
「よし、じゃあまずはそこに行こう」
「お、おお…パウロか」
「お、お父さん!!」
パウロのお父さん?痩せ細った体。顔色もやつれているし、だいぶやられている。
「アルカディア、まずはみんなの治療からだ」
「うん、わかった…」
「パウロ、この者達は?」
「私が呼んだ助っ人だよ……」
「そうか…」
俺たちはまず1日かけて、村の人たちの治療を行った。軽症者から重症な者まで幅広く、よくもまぁ生きていたなというウサギ族もいた。
丸一日寝ることもなく、治療を続け、なんとかほぼ全ての人たちを治療した。
「つ、疲れた」
「お疲れ様です、真也さん」
「ああ、」
「アルカディアもアスティアちゃんも」
「まさか、ここまで酷いとは思わなかった…」
あれは疫病だけじゃない気がしてきた。まだ何かあるそんな気が……。
「旅の方……」
「お父さん!!まだ寝てないと……」
「いいんだ。それよりまずは礼を言わせてくれ、ありがとう…」
「………」
「真也?どうした?」
「あ、いや、なんでもない。ゴホンッ、いえいえ、当然のことをしたまでですよ」
「いやいや、もしあなた方が来なければ、間違いなく村の住民は皆死んでいたでしょう……」
「お父さん…」
「パウロのお父さん、俺たちが行った治療はあくまで緊急処置で完全に治ったわけではありません。しばらく経過を見て、もしまた体調が悪くなれば、言ってください」
「はは、ありがとう」
「よし、じゃあ、今から森の先にある池に向かうぞ。流石に全員が行くと村の人たちにもしもの時があった時対応できないから、パウロと俺で行く。アルカディアとアスティアはこの村へ残って村の人たちを看病しておいてくれ」
「わかった」
「は〜い!!」
「よし、じゃあパウロ、行くぞ!!」
「わかりました!!」
俺とパウロは森の先にある池に向かった、
英雄を育てようとする元勇者はなにを考えているか分からない〜俺はただ英雄を生み出したいだけだ 柊オレオン @Megumen
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