第5話 C1 私たちは勇者に選ばれました

桜崎高校、特に頭がいい高校というわけでもなく、ごくごく一般的な学校だ。


私がこの高校に入学したのは、近かったから、よくある進学あるあるだ。


そんな理由でこの高校に進学したことに私は後悔していた。


いじめ…それは世界でよく問題になっている。


人は皆、無自覚にいじめている、そんな被害に遭ってしまった。

ついつい考えてしまうのだ、もし違う高校だったら、もしかしたら、違う自分になっていたかもしれないと……。

そう、幻想を抱いて、今日もまた我慢するのだ。

騒がしい教室に入る。


ゲラゲラ、笑笑と飛び交う声が耳に入る。


私はひっそりと自分の机に向かう。

いつもの日常、変わらない毎日。

いつの間にか、私は俗に言う陰キャというのになっていたらしい。

もう、あの頃の自分が思い出せない。


授業が順調に進んでいく、そして時間はお昼の時間帯に……


陽キャ達の楽しいそうな笑い声、廊下にも話し声が聞こえる。

みんな、誰かと一緒にお昼ご飯を食べている。

そんな中、私は1人で細々とお昼ご飯を口にする。


「はぁ〜」


自然と口からため息が漏れ出す。

すると、男子6人グループが、こちらに近づいてくる。

私の鼓動が激しくなる。


男子グループはそのまま横を通り過ぎていった。


鼓動が落ち着き出した。

こんな毎日が続くのがつらい。

そんな時、ある本を見つける。

陰キャの印象を受ける主人公が別の世界で幸せになる物語。

俗に言うライトノベルだ。

私はそれを読んでからどハマリした。

きっと私は現実逃避をしたかったんだと思う。



だって憧れない?何も出来ずに生きてきたのに別世界に行ったら、自分の知識が役に立ってしかも幸せになれるって……。



周りからの反応はいつも、「またおの子本読んでるよ…」「ノリ悪いね…」「そんな本読んでて恥ずかしくないの?」

もう、うんざり、話しかけないで、関わってこないでほしい。


そんな風にはいつもどおり、過ごしていると……。

窓の外を除きみれば、快晴だった空が曇り始めた。

私はふと、思った。



『あれ?今日って晴れ予報だったような?』



だから何って?って話だけど、私はその時、疑問に思った。

時間が経つにつれて雨が降り、そしてついには雷がなり始めた。

私は雨が好きだ。

理由は特にないけど、あえて理由をつけるなら、かき消してくれるから。


ピッかと空が輝いた。


最初は小さい光だったけど、その光は徐々に強くなっていく。

音も重く強く、近づいているのがわかる。

そんな中でも生徒、学校の先生は気にせず、授業を行っている。

そして、光がより大きく輝いたその時、その光はここ、桜崎高校に直撃した。

私達は大きな光に呑まれた中、不思議な声が聞こえた気がした。

気の所為かもしれないけど、聞こえたの。



『どうか、あの邪悪な道化を倒してほしい……』



光に飲まれた私達、目を開ければ、冠を被った男、ズラリと並ぶもの達が最初に視界に映った。

こうして私たちは勇者として、異世界に飛ばされた。



そして私はこの時、この瞬間、心の底から昂ったのです……この心が……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る