第2話 王国最強・ティアナ騎士団
朝早くから行くと、騎士や魔法士などが汗水を流しながら朝練に励んでいた。
本当にご苦労様です、と心の中で言っておく。
まぁ俺も召喚された頃はあんな感じで訓練をさせられていたが、正直あれほどキツかった訓練はなかった。
別に体力に自信がなかったわけではないが、とにかく俺は強制されるのが嫌いだった。
「おっ…」
訓練場の少し、奥に進んでいくと、『槍の名手』ティアナを筆頭とする騎士団、ティアナ騎士団が訓練を行なっていた。
「おはようございます〜〜ティアナ騎士団の皆さん〜〜〜」
俺が挨拶すると、騎士団が皆、冷たい目でこちらを見つめてくる。
「お前ら、隠すつもりないだろう」
「団長に馴れ馴れしいあなたに、敬意を表す必要がありますか?」
「アルカ、お前も立派な生意気っ子になって、昔は…真也お兄ちゃん!!って呼んでくれたのに…」
「そ、それは…昔の話!私はもう立派な大人なんです!!お兄ちゃん呼びなんて子供がすること…私はもう子供ではありません!!」
「はいはい…」
「アルカ、そこでやめておけ、こいつと口論したって、流されて返り討ちになるぞ…」
「で、でも!!」
「まぁ、俺の方が人生経験豊富だし〜〜しょうがないよアルカちゃん…」
「く〜〜ムカッ!!!」
「喧嘩はそこまでですよ…アルカ」
『だ…団長!?』
皆が一斉に驚きの声を上げる。
「早い、おかえりだな…」
「今日は勇者召喚の日ですから、会議も早めに終わりました…それより、あまりアルカをいじめないでください」
「俺は別にいじめたつもりはないけどな、ただちょっとからかっただけで…」
「それをやめてほしいと言っているのですよ…はぁ〜〜あなたは本当に私の騎士団をからかうのが好きですね…」
「まぁ、否定はしない」
「そこは否定しなさい!!もう、団長〜〜、もう嫌だぁぁ〜〜」
アルカは団長に飛びついた。
「もう、よしよし…」
「お〜〜、まさかしく癒しの女神を見ているかのような光景…ベストショット!!」
「はぁ〜〜あなたは、少し黙りなさい」
団長の冷たい瞳が俺を威嚇する。
流石に呆れたのか、お怒りのようだ。
もう、少しからかっただけのに。
「すいません…」
びびっているわけではないが一様、誤っておいた。
言っておくが決してひよっているわけではない。
「さぁ、みんな訓練の続きを…・」
『はい!!団長!!!!!』
アルカを含め、ティアナ騎士団は訓練に戻った。
さすが、ティアナ騎士団、ちゃんと統率が取れている、何より、『槍の名手』ティアナの忠誠心が素晴らしい、きっと彼ら団員はティアナの命令であれば、命すら簡単に投げ捨ていることができるだろう。
まさしく、騎士団の理想の姿…と言える。
「で、何しに来たのですか…」
「うん?」
「惚けないで…あなたが何の思惑もなく、ここに訪れるわけがない、一体なんの用件?」
「ふぅ〜、さすが槍の名手ティアナ、俺のこと、わかっているぅ〜〜」
俺はティアナの頬をつんつんっとつつく。
「あなたの命、私の槍を持って、終わらせてもいいのですよ?」
「ははは…それはご勘弁、ゴホンっでは本題に入るけど、少し手伝ってほしいことがあってね」
「手伝ってほしいこと?それは私たちでなければならないのですか?」
「うん、この王国で一番強い、君たちにしか頼めないことなんだ…」
「……内容は?」
「ふふん…それはねぇ〜〜」
俺は騎士団に頼みたいことを細かく伝えた。
「なるほど…それなら王国としても利益がある……わかりました、その用件を受けましょう、ただ…」
「ただ?」
「私たちは、手加減できませんよ?」
「それぐらいでないと…」
「では…私も訓練に参加するので…」
「おう…」
あんな小柄な体でよく動く、よく戦うよな。
いやあんな小柄だからこそ、あのティアナ騎士団は強いのかもしれない。
「さて、用件は済んだし、勇者召喚の時間までゆっくりとしますかね…」
俺はエルキザレオン王国の近くにある荒野に向かった。
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