第11話 双手扇拳
「ではこちらでお待ちください。」
「あ、わかりました。」
試合を終えた俺は待合室に案内され、トーナメントの表を渡された。目を通してみるがどの選手もあまり強そうではなかったが。だけど一つ、目に留まる選手がいた。
「ダルタ・ジュージ 超スピードの暗殺拳法の使い手?」
俺はこの人の写真を見る。見た目は若くて13歳くらいだ。この人の試合は見てみたいな。なんか、若そうなのに写真からでもオーラを感じる。えーっと5回戦目か。
「第5回戦!間も無く開始しまぁぁぁぁぁぁす!!!」
お、ちょうど5回戦目か、一体どんな戦法を使うのか確認してみたいな。
俺は闘技場の選手専用の観覧席に足を急ぐ。すると丁度戦闘が開始された。
「さああ! ダルタ・ジュージ選手対イッパン・モブエー選手勝つのはどちらだ!!!!!」
試合が開始する。するとジュージは腕を前に出した。すると、腕が徐々に二つに分かれ、腕が二つになった。どういうことだこりゃ?
「オオット!! ジュージ選手の腕が増えた!!一体どういうことだ!!??」
俺はこの不思議な現象に思わず目を見張る。さらに次の瞬間、気がついたらジュージはイッパン・モブエーの目の前に近づき増えた二つの腕の間に相手の顔を入れる。するといきなり辺りに爆音が響き渡った。
バババババババババババババババババ!
爆音が響き渡る。だけどそれだけだ。イッパン・モブエー選手は変顔をしているだけだしジュージも表情ひとつ変えていない。今起こっている状況が分からなすぎて視界すら口が停まっている状態だ。
バババババババン!
ようやく爆音が止む。すると変顔をしていたモブエーはゆっくりと後ろに倒れた。モブエーは白目を剥いて口から泡を吹き、頬からは血が垂れていた。所々顔に黒っぽい場所もある。
「こ、コレは一体何が起こったんでしょうか!? 何が起こったぁ!?と、とりあえず、第5回戦。勝者ダルタ・ジュージ選手!」
俺はジュージの無表情に顔がひきつる。背筋がゾワリと震えて足はガクガク、思わず急いで観客席から待合室に戻りさっきのあの攻撃がなんだったのかを振り返る。
あの攻撃はとてつもなく不思議な技だ。よく凝視しても正確には技はわからない。結構観察眼には自信があったのに。
「でも。多分アレはビンタだ、凄まじい速度で往復ビンタを繰り返しているんだ。恐らく音速を遥かに超えている。あまりにも早すぎて吹っ飛ぶ暇もなくただただビンタを喰らいまくるんだ。アレを常人が食らったら頬は腫れ破け、脳は揺れに揺れて確実に脳震盪を引き起こすだろう。もしかしたら摩擦熱で火傷を負うかもしれない。まあ、アレを喰らったら普通の人は確実に瀕死か死だな。モブエーがかわいそすぎる。」
そう、アレはビンタ、平手打ちだ。恐らくなにかのユニークムーヴメント、パワーを使って往復ビンタを加速させているんだろう。ユニークムーヴメントだったら分からないがパワーだったら当てはまるパワーがあった。
「『
俺はさまざまな考察を頭の中でする。だけどそこから進展はあまりなく、多分あの攻撃はビンタ。という曖昧な結論が残り、謎は深まる一方だった。
「アツシ様、間も無く次の、ラウンド2が始まりますのでご準備が整い次第、闘技場の対機序でお待ちください。」
「ああ、ありがとさん。」
もうタイムリミットのようだ。さて、今回もいい感じにみっともなく戦って勝つか。
そしてふと立ち上がって鏡を見た時に気がつく。もうすでに顔が超ビビっているのだ。涙はドバドバで鼻水が垂れてもう顔はクッシャクシャになっててなんとも弱そうだ。足も超震えてみっともない状態よりもみっともない状態になっていた。恐らくこれが『ウィーク』の効果なんだろう。想像以上だ。
俺は闘技場に行き、ラウンド2の準備をした。
〜おまけコーナー〜
「はい、やってまいりました。筆者の⭐︎ラジオコーナーのお時間です。司会はわたくしマコリョと、」
『チッ! なんで俺様がこんなコーナーに出なきゃいけねんだよ。クソがっ!』
「はい、久しぶりの登場。セーカク・オワトル君です。はい。この企画は読者の質問ハガキ(応援コメントなどの質問)や私のやらせハガキに対して全力で返信していくコーナーです。それでは行ってみよう!」
『おい、俺様をシカトするんじゃねえよ!!!」
《べっぴんNo. 1さんより》Q.質問です。淳君の身長、好物、嫌いな物、誕生日を教えてください。
「はい、こちらの質問ですね。え〜まず最初っから答えていきますと。身長は通常時だと165センチ、フルパワーだと351センチですね。好物はそうめん。嫌いな物はセロリです。誕生日は8月14日です。随分とマイナーなところいきますね。」
『ケッ!ファンなんじゃねえのファンなんじゃ?』
「確かにそうかもですね、まあ字の都合上次でラストにしますか。」
《タダモーブさんより》Q.先程、イッパン・モブエーさんとやらがセリフすら言うこともなくぶっ倒れました。コレに関してどうお思いですか?
「えー、要するにイッパン・モブエーのあの雑な扱いはどうなん?という質問ですね。えー、まあモブだしいいんじゃない?確かにちょっと残酷な運命を辿ったけどさ。」
『いいんじゃないじゃねえだろッ!例えモブでも痛みがあるんだ!痛みが!フォー!』
「うるさいな。著者の権限で存在ごと削除するよ?」
『ッ!すみませんでした!』
「うむ、素直でよろしい。ではおまけコーナーは終わりにしたいと思います。次回の話もぜひよろしければ読んでください。それじゃ。」
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