戦闘賭博場

「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」」」」」

「やっちまえ筋肉ダルマ! お前に全額賭けてんだからな!」

「やっちまえ! あんな見た目脳筋のやつなんか一瞬だぜ!」



 俺は今、闘技場に立たされています、なんでこうなったかを説明しましょう。


①草原でスヤスヤおねんね。『偽装肉体カモフラージュボディ』がちょっと解除されて完全解除と発動している間の中間的な感じになりゴリマッチョな人間になる。

②どっちが勝つかを賭ける闘技場のスカウトマンが俺を発見。

③闘技場に俺を運ぶ。

④本人の意思関係なく闘技場に乱入させチャレンジャーに登録される。

⑤速攻で試合が始まり今に至る。


 あーコレは運が悪かったのかな。街から7〜8km位離れていたのに見つかるとか俺運悪くね?さらにそれがスカウトマンとかどんだけ運悪いんだよ。というかこんなん誘拐やん。もう逃げようかなあ?

 俺が逃げの手立てを考えるとそこに司会の声が響き渡る。


「さあ始まりました。第14回地下闘技賭博場!ここは強者たちのアトゥ〜イ勝負の勝敗を賭けるカジノでございま〜す。それでは行ってみよぉう!まず一回戦。出場選手じゃ7回目の出場であるベテランのザルコン選手!対する相手は今回初登場!期待の星、チャレンジャー!名無しさん!」


 そういや唯一俺の名前が書いてあるあの戦人者のカードはナスビのボックスの中だったな。てかそうだ!ナスビどこだ?俺と一緒にここに連れてこられたはずなんだけど……………いた!なんか特等席みたいな場所で座ってこっちを見てる、どーゆーこっちゃ?

 俺はナスビがどうしてこうなったかを推理していると頭の中に声が響いた。


《あーあー、聞こえるナスか?》


 俺は思わずナスビの方を向く。一体何があった?


《どうやらちゃんと聞こえてるみたいナスね。実は使う機会があまりなかったから言わなかったナスけどこのスーパーハイスペックマニュアルであるナスビは念話テレパシーが使えるんなす。相手も念話テレパシーのようなパワーを持ってないと片道電話になっちゃうなすけど。

 まあそんなことより賭博場、この規模、淳さんは選手!淳さん。ガッポリ稼いじゃいましょうナス!なんかセレブのお嬢さんたちがナスビが珍しくて可愛いと言うだけで金をくれたので元金は結構あるナス。(ナスビは案外モテるナスね。デュフフナス。)程よく稼いでさっさとこっから抜け出そうナス!全額淳さんにかけますからね。それじゃ。》


 俺は茄子の念話テレパシーを聞いて自身の考えが180度変わった。

 お金欲しい。この欲求だけが俺の頭を満たす。おし。まず、圧勝しすぎるとオッズが下がってあんまり稼げねえから弱々しく立ち回って勝つことにしよう。だから筋肉のボリュームをちょっと下げるか。


「オオーット! 名無しさんのはち切れそうにあった筋肉が萎んでいきます。まさか筋肉はコケ脅しだったのでしょうか?さあ大丈夫か名無しさん!?」


 ヨシ、ナイスだ司会。コレで不安になって次の試合で引き出す人も増えるだろう。それでオッズが上がってナスビがガッポガッポに稼いで儲かる。良いね(^^)

 俺は空想の算盤を弾く。するといつの間にか試合が始まろうとしていた。


「さあはじめます。まず両者それぞれの挨拶をお願いします。」

「オイ、萎んだ筋肉ダルマ。おめえ死ぬか?てめえみてえなこの闘技場のルールのカケラも知らなそうな野郎なんか俺の剣技でスパスパのグサグサのバラバラのボキボキのグチャグチャのメタメタにしてやっからな!」

「んー。某漫画のオレンジ色の服を着た大柄の暴力少年の生まれ変わりかな?まあ想像が集まってできた世界だしいるのも必然的なのかな?」

「ごちゃごちゃ何言ってやがる! いいか、お前なんか俺の剣技で(以下略)!」

「えーそれでは位置についてください!」


 あれ?今思ったんだけど相手普通に金属の剣持ってない?俺何にももらってねえぞ?もしかしてこの賭博場、普通にドーピングが許可されている系のところだったりする?ずるくない?公平に戦おうよ!

 そんなことを考えていると試合が始まった。


「それではぁぁぁぁああああファイト!」

「オラァ!」


 あーあ、相手だけ武器アリで始まっちゃったよ。あの前に模擬戦の時に使ったメリケンサックもらっときゃあ良かった。てかなんじゃありゃ?

 金属の剣は炎を纏って俺に一直線に振りかぶって来た。別にこの程度の振り被りの速度だったら難なくかわせるのだが俺はあえてみっともない感じに避ける。


「おおっと!」

「ヒュヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! どうよ!俺のパワー『熱熱熱アッチャッチャ』は!コレでお前ごときなんざ消し炭にしてやるぜ!」

「「「「「いいぞザルコン! 筋肉ダルマモドキをぶっ飛ばせ!」」」」」


 いいぞいいぞ大体はコレでザルコン派になっているだろう。じゃあ引き続き避けまくるか。

 俺は炎を纏っている剣を引き続きみっともない感じでかわしまくる。すると、次第に相手に疲れが見えて来た。


「ゼヒューハヒュー。お、おいテメェ! 正々堂々戦いやがれ腰抜けが!」

「嫌ですよ。当たったら死んじゃいますし。」


 死ぬとは言ったけども死ぬことはないだろう。だが無傷で済むとはいかないだろう。現にスレスレのところで回避しているが熱さはしっかりと感じる、触れたらそれなりの火傷を負うだろう。だって俺の筋肉に耐火性なんてないもん。(フラグ)

 俺は、剣をさらに剣をかわし続ける。するとザルコンは次第に足元がフラフラになり隙だらけになる。もう十分ザルコン派に皆いったし終わらせるか。

 俺は一瞬、腕だけ『偽装肉体カモフラージュボディ』を解除して相手の鳩尾をチョンぐらいに殴りつけてすぐに『偽装肉体カモフラージュボディ』を腕に発動させてさっきのヒョロヒョロモードになり相手に今度はゆるーいパンチを当てた。これで観客からしたらザルコンがゆるゆるパンチでぶっ倒れたように見える。


「グホッ! い、一体な、何が……………」


 鳩尾にパンチを喰らったザルコンは何が起きたかも理解できずに倒れた。


「「「「「え…………エエエエエエエエエエエエエエ!?!?」」」」」

「こ、コレは一体何が起きたのでしょうか?なんと、ザルコン選手の鳩尾に名無しさんのゆるゆるパンチがヒット!ただ、ただそれだけでザルコン選手が倒れた!これは、これは、弱すぎる。弱すぎますザルコン選手!ということで第一回戦勝者は名無しさんです。」

「「「「「エー!? ブーブーブー」」」」」


 俺の勝利を司会が伝えると観衆がブーイングして来た。計画通りと言ってもコレは心に響きますね。辛いです。


ピピロン!


 あ、2回連続でパワーを獲得した効果音が鳴った。さて、何が来たのかな?




 〈パワー一覧〉

・テンプルマン

・砲台人間

・コブシマン。

・ハイ! ポーズ!マン

・ドリルマン

・カモフラージュボディ

・new!! ウィーク (弱々しく見せる振りがより本物のように演じることができる。コレを見破れるのは余程の猛者であろう。)

・new‼︎ 耐熱筋肉 (筋肉が急速進化を遂げ熱の極地に辿り着いた。煮えたぎる溶岩にも耐え炎属性の炎の追加ダメージを受けない。)


 おうおうおうおうおう?まあ一つ目は良しとしよう。で、二つ目はなんなんだ二つ目は。なんだよ耐熱筋肉って。耐火コンクリートじゃねえんだっつーの。まあ効果は普通にありがてえんだけども!


 


 こうして俺の地下闘技賭博場の戦闘が幕を開けた。

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