第二話 パワー! ◯ー
俺は天使に言われた通りナスに質問をする事にした。
「なあ、ナス! ユニークムーヴメントってなんだ?」
「ナスじゃないナス。ナスビでナス。 で〜ユニークムーヴメントとは何かナスか?スキルっていうのは人々の妄想を具現化したいわば超能力っすね。さらに、自分のスキルを理解して、自分のスキルを使ったり想像の幅を広げることで、ユニークムーヴメントとは別の《パワー》という物をゲットできるナス。だから強くなるためにはこの《パワー》が重要ナス。」
「じゃあ、ここはどこ?」
「ここは(初めの平野)ナス。弱い敵しか湧かない平和な平野ナス。」
「じゃあ敵ってどんなのがぁ……………」
「ちょっとタンマ!ナスゥゥゥゥゥゥゥ!」
ナスビの悲鳴が平野を駆け抜けた。
数時間経過……………
しっかし人間とはおかしな物だ。一度質問すると次から次へと質問して行ってしまう。
結果、愛くるしい形をしていたナスビも横になって脱力していた。だが、ナスビの体力と引き換えに俺はさまざまな情報を得た。
ここは初めの平野でスライムやゴブリン、マイクロアントなど、ピラミッドの低下層の敵モブが湧くいわば初心者向けの所。モンスターの強さにも個体差があり、強い奴と戦えば戦うほど《パワー》を得るまでの道のりが短くなる。だから上に行けば行くほど《パワー》の種類も上がっていくってわけだ。そして敵に関わらずモブを倒すとそれぞれのしたいから出るドロップ品と生命の源と言う石が手に入る。これはそのモブの生命の源で装備などが作れる。尚、そのモブの種類、強さ、性格も装備の強さに影響する。例えばスライムとか低下層の所だったら装備も弱くなるし逆にドラゴンなどの強いモンスターだったら装備も強くなる。さっき性格も装備の強さに影響すると言ったが正確には性格の特徴が装備の特徴になる。弱気な奴から作った装備だったら俊敏性が強み、みたいな感じだ。
さて、長話も飽きたし早速スライムとか、狩ってみるか。
「おいナスビ、早速敵がいる場所に移動するぞ。」
「わかったナス…、もうちょっとだけ待って欲しいナス。」
ナスビはこれでもかと言うぐらいにグデ〜ン(疲)のポーズを体現した。俺は待つ気は毛頭ないのでナスビの左前足を掴んでズルズルと引き摺りながら移動した。
エ? ナスビはなんか言わなかったのかだって?
い、いやいやいやいやナスビは「横暴ナス! 訴えるナス! 社畜ナス!」なんて言、言ってませんヨォぉぉ!
俺は近くにあった丘を登り、周りを見渡した。すると、30メートル先らへんに黒い線がある。俺は目を細めるとそれはマイクロアントの列だったことがわかった。しかもマイクロアントの大きさは手のひらサイズ。虫嫌いな俺は震え上がる。 だけど俺は虐めの時の屈辱と比べることでその恐怖を打ち消す。俺はマイクロアントの列の所までダッシュをする。強くなりたい一心で走りまくった。
するとどう言うことだろう。ものすごく腹が減った。体が栄養を求めている。 俺はその空腹を誤魔化すためにそこら辺にあった草をむしって食べる。
※そこら辺にある草を齧るのは大変危険ですのでマネしないように。
草を食べたらある程度、治りはしたがそれでもまだ足りない、何が一体が足りないのだろう。
あなたが欲しいのはタンパク質です。
急に何が必要なのかカーナビみたいな声をしたやつが教えてくれた。そうだ。俺が欲しいのはタンパク質だ。筋肉の源、タンパク質。タンパク質は目の前にある。そう、アリだ。虫はタンパク質豊富だからな。
空腹で常識を喪失した俺は目の前にいる蟻に手を伸ばし………食った。味はと言うとちょっと酸っぱくてでもちょいちょいの旨味があった。けれどもそれ以上に苦くてマズかった。だけど、今は関係ない。
俺は目の前に大量にある手のひらくらいの大きさのアリを口の中に入れて、噛み砕き、殻と生命の源を吐き出し、身を飲み込んだ。満足がいくまで。
「ムシャムシャ。 ゴリッ! バキィ! プッ! ブチィ! …‥‥……ハッ!一体俺は⁉︎」
しばらくして自我を取り戻した俺が見たのは巨大な生命の源とマイクロアリの外骨格が形成する自分の身長ぐらいの山だった。これを自分がやったのかと思うと少々吐き気がした。吐かないけども。
ナスビはと言うと、俺にドン引きしてやや距離をとっている。悲しい。
ピロン!
俺がしばらくまだ口に残っているマイクロアントの身の筋をクッチャクッチャしていると突然、軽快な音楽が流れた。
「オイ!ナスビ、なんか軽快な音楽が流れたんだがなんか知らんか?」
「軽快な音楽っていうと………まさかもうパワーをゲットしたんですか⁉︎」
どうやら俺は早速パワーを習得したみたいだ。俺はナスビに教えてもらった通りにパワー一覧と念じた、すると目の前に白いディスプレイみたいなものが現れた。内容はというと。
〈パワー一覧〉
・new! テンプルマン
俺は思わずダサいパワーに苦笑いをした。ちなみにそのテンプルマンの能力はというと。
・テンプルマン
その鍛えられた顎は何回噛んでも疲れを感じない。その顎が本気を出せば宝石すらも噛み砕かれるであろう。
俺はすっげえダサい能力だと思いつつも初めてもらったパワーに興奮したのであった。
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