魔力なしで転生した俺はスキルの『肉体』、を使って魔法使わず無双する!

@makoryo

第一話 筋肉が欲しい!

ガシ! バキッ! ドゴ!ドグ!


どこかの学校でいじめが起きている。

「オルァアアアア! しっかりと立てよ。キュウリ!」

 男達が寄ってたかって一人の小柄な男をリンチにしている。

「や………やめて下さ…………ぃ。」

 小柄な男はこの言葉を楽しんでいるのだと分かっていても必死にやめてくれる事を祈る。非常に惨い。小柄な男は何もしていないのに、只々虐められているのだ。このままでは今はまだ心の中にある『善』が『悪』に塗り変わり全ての事に気力を無くしてしまうだろう。


助けなければ………………




ッは! どうしたんだ俺は?一体何が起きた?俺は毎日のごとく奴らの言う遊びに付き合わされていたのに、気がついたらあたり一面真っ白!

痛覚どころか自分自身の存在感もない。どうなってるんだ?


「大丈夫でした?」


 気がついたら目の前に白い光を放つ何かがいた。眩しくて目を痛めそうだ。目の感覚ないけど。


「突然の出来事で混乱していると思うので事情を説明します。まずここは人々の言う、いわゆる天国。そしてあなたは身体と分離してソウル状態になっています。。別にあなたは死んだわけではないのでご注意を。」


目の前の光が簡潔に今の情報を教えてくれた。ふ〜ん、ここは天国で俺はソウル!………ドユコト⁉︎


「あなたはこれ以上、負の感情を増やしたら自ら命を絶ってしまうと、上から通達がありましたので私、天使があなたのソウルを抜き取り、人々の妄想が生み出したもう一つの別世界、〔思念の別世界スォーツディメンション〕に特別に送る事になりました。そして向こうの世界では皆が『ユニークムーヴメント』と言う特異な力を持ちます。ユニークとありますが属性は大まかに五つに分けられます。火、水、風、大地、その他となります。ほとんどの人が火、水、風、大地に分類されて、その他はほんの一握りの人しかいません。貴方にはこの別世界のバランスが壊れない程度の能力を自由に選べる選択権があります。さあ、何か欲しい能力はありますでしょうか?」


 俺は何とか状況を飲み込み、落ち着きを取り戻した。要するによくある転生だな。さて、どんな能力にしようかな?


 …………なんだこの気持ちは?感情の憤りを感じる。俺は自分が虚弱体質なせいで自分が散々な目にあった過去が俺に呼びかけているのだ。


……そうだ。魔法なんてどうでもいい。俺はただ、見返してやりたい、俺のことをキュウリだのヒョロガリだの言って殴ってきた連中に目に物を見せてやりたい。圧倒的な力を……力を!!!


「天使、俺は魔法なんてどうでもいい。ただ、力が欲しい!他の奴らを一蹴する桁外れな筋肉が欲しい!」


 俺は感情のままに本音をぶちまけた。今まで無表情だった天使もやや驚いた表情を見せた。


「……分かりました。その要望を上に通達しておきます。それでは転送に移るのですが何も〔思念の別世界スォーツディメンション〕については知りませんのでマニュアルをつけましょう。」


 すると、俺の前によくお盆でみるナスが登場してきた。しばらくするとヨタヨタと動き始める。マニュアルとは?


「あなたはこれと一緒に転生します。詳しいことはそのマニュアルに聞けば分かります。それでは、良い転生を。」


しばらくすると俺は突然、落下する感覚を覚えた。しばらくすると地面が見えてきた。


 あれ?うわぁああああ ぶつかるぶつかる! ウワァ!ってアレ?


 俺はゲームのキャラが高所から落下しても平然としている様に無傷だった。


 無傷? っつーかいつの間にか感覚戻ってる。どうなってんだこれ?ってグハァ!


 上から送れてマニュアルとか言うナスが俺の腹にダイレクトに腹にぶつかってきた。 俺は思わず腹を抱えぷるぷると震える。


「どうもナス、あんたさんのマニュアルを担当させていただきナス。オボーン・ナスビですナス。よろしくお願いしナス!って大丈夫ナスか!?」


 口もないのにナスが喋ってきた。ちなみに大きさは全長1メートルほどだ。っつーか自己紹介する前に俺の容体に気づけや!


 こうして俺の転生が幕を開けるのだった。



武道たけみちあつし

 主人公、虚弱体質でその場の感情に飲み込まれてスキル、『肉体』を手に入れしまって、実は心の底で後悔している。


〈オボーン・ナスビ〉

 淳の相棒、割り箸のような足とナスそっくりの体が特徴。「ナス」が口癖。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る