04 尾行①

 またバオのほうが早起きだった。ニキアスが部屋を出て食堂に姿を見せると、もう食後の紅茶を楽しんでいる彼女がいた。もう朝の早さを競うつもりはなかったが、それでも呆れてしまうような時間差だった。もしかしたら日が昇るより前に起きているのかもしれない。この宿では日ごとに出る朝食が決まっていて、ニキアスはそれを受け取ってバオのところへ向かった。


「聞き込みじゃダメだってウェルウィチアが言ってたけど、どうするの」


「ニキアスは尾行って得意?」


 バオからの出し抜けな返答がどんな意味を持つのかニキアスにはわからなかった。彼からの疑問をあえて無視したのか、それともこの返しが正しい答えにつながるものなのか。とりあえず話を聞いてみることでしか解決がつきそうにない。


「なに急に。そんなのやったことないけど」


「だよね。じゃあ気配を消すのって練習したことあるかい?」


「それはあるけど」


 それを聞いてバオはにんまりと笑んだ。この顔だけだと途端に幼く見えるのがニキアスには不思議だった。ゆっくり右手を持ち上げて、頬のあたりで止める。杖は隣の椅子に立てかけてある。人差し指でこめかみをとんとん叩いた。あからさまに物事を考えているふうだが、本当にそうなのかはわからない。会話のリズムを整えるためだけにそうしているのかもしれない。少なくとも主導権はニキアスにはなかった。

 たっぷり十回はこめかみを叩いて、バオはやっと右手を机の上に戻した。ひとつ息を入れて、今度は紅茶を飲んで、そうしてから向き直った。よく見ると昨日と同じ花束がテーブルに置いてあった。


「さて、どうするってきみは聞いたね。実は昨日ウェルウィチアはヒントをくれてたんだけど、私はありがたくそれを利用させてもらおうと思ってる」


「ヒント、全然気づかなかった。ていうか昨日の話は全部ウワサじゃないの?」


「甘いぜ少年。重要なのはあの話に理が通ってしまっていたことだよ。このナウサがこうして街として続いている以上、どのみちまとめ役は存在しないとおかしい」


 バオは手を差し向けた。この考えに対してきみはどう思う、と言うように。彼女のそばに置かれた花束からかすかな香りが届いたような気がした。


「納得。街が続いてることが証明になってるんだね、逆に」


「そういうこと。でもそのまとめ役が誰なのかはわからない。だから何か手段を講じる必要がある。昨日、ウェルウィチアはケンカ禁止の場で何をしてると言ってた?」


「……いくつかのギルドのトップが話し合いをしてるって言ってた」


「そこだ。そしてそこはあまり雰囲気がよくないとも言っていた。そういう場所には絶対に場を収める人間が必要なんだよ。でないと厄介ごとが持ち上がる」


 バオは両手の人差し指をぶつけ合って剣戟を表現している。指なら柔らかい素材だが、本物の剣だと想定すれば笑い話では済まない。まさかそこまでバチバチでもないだろうが、スケール感を落としても穏やかではなさそうだ。ニキアスは最低限の確認だけすることにした。


「まさかその話し合いの場に紛れ込もうとか言うんじゃないよね?」


「面白そうだけどさすがにそれは難しいかな。出席できる人は決まってるようだし」


「じゃあ、さっき言った尾行っていうのは……」


「大きいとこのギルドのトップを尾けて会議場ってのを探し出す。そしてさっき言った場を収める人間ってのを見つける。まあ日程は運次第ってところかな。いつ会議があるのかわからないし」


 別に不思議なんて何もないかのようにさらっとバオは言ってのけた。彼女は自分で口にした言葉にそれほど気を払わず、どこが相手として適切かを考え始めていた。やろうとしていることははっきり言って街全体から目をつけられかねない行動である。街に対して影響力を発揮できるほどのギルドのトップを尾行して、街の運営に関わる会議の行われる場所を突き止めようというのだ。バレたら冗談ではすまない目に遭うだろうことは動かせない。

 ニキアスは軽度の頭痛に襲われた。闇雲に統括組織を探すよりも効率がよさそうなことは納得だ。しかしそれには危険が付いて回る。いやそれどころか危険を指でつつこうとしているようなものだ。いくら彼が田舎の村の出身といっても立場のある人物が護衛なり何なりをつけることくらいは知っている。人間そうそう代わりはいないもので、それが組織のトップに立てる優秀な人材となればなおさらだ。ニキアスの気が進まないのも当然だった。どおりで気配の消し方なんて聞いてくるわけだ。


「本気?」


「でかいギルドは建物もでかいし、そこのトップは面も割れてる。難易度はぐーっと下がったと思うんだけど」


「下手うったらバチバチになっちゃうだろ」


「……まあ優秀なのがいる可能性はあるか。そこはまあバレないように頑張ろうか。万が一バレたって大丈夫さ、そのときは他の街に行こう」


 一度考え込んだと思ったら返ってくる答えがこれなのだから参ってしまう。冗談だと言ってくれるという最後の願いを込めて視線を送ってみるがバオはそもそも視線を送られていることにさえ気付かない。優雅にティーカップを口に運んで香りを楽しんでいる。もう尾行する相手を決めてしまったのだろうか。

 彼女のその仕草は話題の完結を感じさせた。扉は閉じられて、内側から鍵をかけられてしまったのだ。その扉をノックしても意味はない。鍵をかけた人物はさっさと奥へ引っ込んでしまった。鮮やか。ニキアスは嘆息するしかない。そして別の話題を選ばなければならない。


「そういえば昨日、いや今日もだけどなんで花束なんて持ってるの?」


「ん? ああ、むしろこれが本来の姿なんだよ。持ってると落ち着く」


「単純に花が好きとかそういうこと?」


「もうすこし密接かな。知ってる? 生花店なんてあまりあるもんじゃないんだよ、昨日見つけられたのは本当に運がよかった」


 “密接”の意味がよくわからなかったから、ニキアスはそれについて尋ねようとあらためてバオのほうへ視線を移した。いっぽう彼女は建物の隙間から光が差し込み始めた街路を、窓を透かして見ていた。それが遠い目をしていたから一気に聞く気が失せてしまった。ニキアスは何かの事情が潜んでいると判断した。そしてそれは間違いではなかった。彼がその中身を知るのはもうすこし先の話になる。


「あー、造花じゃダメなの? 長持ちするじゃん」


「……ないよりはマシってぐらいかな。引きずられちゃうんだ」


「何が?」


「考え方」


 百歩譲って自ら咲いた花に考え方のようなものが存在しているのだとしても、人の手による工芸品の造花にそれがあるとはとても思えなかった。だから造花に考え方が引っ張られるというのは、彼にとって適切な表現ではなかった。もしかしたら世界にはニキアスの知らないとんでもない技術や秘密が転がっているのかもしれないが、さすがにそれは実物を見てみないと信じることはできなかった。だからいま彼の正直な感想は、誤魔化されたな、というものだった。

 あとはお互いに方針を確認した。別のギルドのトップが同じ場所に集まればそれは重要な会議に違いない。つまりふたりは別々にそれぞれの標的を尾行をする。穏やかな朝食のテーブルで剣呑な作戦が始まった。


 実際に乗ってみると外から見ていたよりも揺れるのが馬車だった。ニキアスは窓枠に肘をかけて景色を眺めようとするが、がたがた揺れて跳ねて距離がある程度近いと文字は読めないし人の顔も判別できない。たしかに歩くよりは確実にラクだ。しかし木で誂えられた座席のせいでおしりが痛い。これは肉体の強さどうこうは関係なく、ニキアスが若く、肉のつき方がまだ薄いのが原因だった。周囲の客が平然とした顔をしているのが彼には不思議だった。慣れとはおそろしいものである。

 先日も訪れた西区だが、今回は採る手段が違う。どうやったって追い出されることはないとニキアスは確信していた。今日は目的のギルドの出入り口を監視していればいいだけの話だ。どこか適当な場所にあるカフェか何かに席を取って、あとはじっとする。気配も消せば完璧だ。そこまで組み立てたニキアスは具合のいいオープンカフェを見つけて、知らない人に相席を頼んだ。

 もう剣もベルトから外してしまってテーブルに立てかけている。ゆっくりゆっくりコーヒーを楽しむふりをしながらちらちらと出入り口に視線を送る。なるほど盛況のようで、人の出入りが活発だ。幅も広い。ふつうの人からガラの悪そうなのまで隔てない。さすがに上流ともなると話は違うらしいが、それでも多くの人が入れるというのは運営がうまくいっている証拠だ。もちろんすぐにうまくいくとは思っていなかったが、ナナハラ一家のトップは姿を見せなかった。さっき相席していた商人に聞いた人相は出てきていない。際立った特徴は輪郭に沿ってきれいに整えられたヒゲと、一目でわかる屈強な肉体らしい。こういうのは退屈だな、とニキアスが頭のなかでぼやいたその瞬間だった。


「テメェ、さっきから何してんだ?」


 同じテーブルの向かいの席に、明らかに一般のものとは異なる雰囲気をまとわせた男が座っている。言葉遣いだけは荒いものを感じさせるが、それ以外はきちんと抑制されている。ニキアスは焦っていた。目も意識もナナハラ一家の出入り口にばかり向けていたのは事実だ。しかし目の前の椅子に座られてもまったく気が付かないほどに集中力を傾けていたわけではない。ふつうに考えれば視界に入ってくるはずのものを潜り抜けてきている。最低でも警戒対象だ。とはいえ剣に手を伸ばすわけにはいかない。相手から敵意を認められてしまえば戦闘以外の選択肢が消えてしまうからだ。

 慎重に、相手を刺激しないように、しかし臆した態度は取らないように気を遣ってニキアスは言葉を選んだ。返答次第では会話をすぐに打ち切られてしまう。


「何って、コーヒーを飲んでるんだけど」


「思ったより頭が悪いらしい。さっきから、の意味がわかるか? こっちもしばらくお前のことを見てんだよ」


「……わかったよ、認める。ナナハラ一家の出入り口を見てた。でもなんで俺が見てるってわかったの」


「ふつうのやつはこれだけ気配を消せねえよ、姿を見せておいてすっかり希薄な存在感なんてな。逆に浮いてんの、お前」


 完全な失敗だった。言われてみれば多くの人の中にあってひとりだけ気配を消していれば、わかる人間には逆に目立つのは自然なことだ。そういうのは状況的に周囲に誰もいない場面でこそ輝く。すこし考えればわかりそうなことだが、案外と自力でたどりつくのは難しいものだ。年若い経験の浅さがここで出た。

 ずばりと落ち度を指摘されてしまって、返せる言葉がない。ニキアスにできるのは苦笑いを浮かべることだけだった。肯定も否定もできない。じゃあこれで、と立ち去ることもできない。わかりきった質問が飛んでくる。


「さて、じゃあ目的を話してもらおうか」


「目的なんて言われても。一家のトップを見てみたいってだけなんだけど」


 嘘はついていない。二重底の一枚目の底だ。


「それは通らねえだろ。仮に今回は見ることが目的だとしても、そこから別の目的につながってくって考えるのが自然だ。聞いてるのはそっちのほうだ」


 まずは話をする意思を示したのか、男はテーブルの上で両手を組み合わせた。ただ目は鋭いままだ。疑いどころかスタート地点がほぼ敵認定のところからだ。これを解きほぐすのは骨だ。納得できる論拠をいくつも提示しなければならない。ニキアスは使い慣れていない頭を可能な限り回転させる。


「待った。それは俺がどこか別のギルド所属だって見てるってこと?」


「無論。でないとうちの家長なんてごついもんをわざわざ見に来ないからな」


「それは違う。俺はギルドなんて入ってない。この街にだって来たばっかりだ」


 誤解はさせたままにしてはいけない。会話がかみ合わなくなったらそこで終わりの可能性がある。ニキアスのほうから矛盾を生み出すことが最悪で、絶対に避けなければならないことだ。

 対面でニキアスをじっと見ながら、いやほとんど睨んでいると言ってもいい、男は黙っている。聞いた言葉を検証して、考えて、不審な点がないかを確かめている。


「……よその所属じゃない証明は?」


「入ってないことの証明のしかたなんて知らないよ。でも街に来たてなのは宿の記録で証明できる。ああいうのって誰がいつ泊まったか書くもんだし」


「……街に来たばかりだというのは信用してもいい」


「あとはダメなのかよ」


「いや、何ならギルドどうこうを差し置くことを考えても構わない。だがうちの家長を一目見るためにこんな場所で監視まがいのことをしていることは腑に落ちない。つうか目的がないと筋が通らねえ。気配を消して数時間。まともじゃねえよ」


 ぐうの音も出ない。譲歩してもらってなお不審であることは動かない。ニキアスは自身の拙劣さがここまで動かぬ証拠になるとは思っていなかった。対面に座る相手の論理が完全に正しい。あまりにひっくり返す糸口が見えてこないせいで、だんだんニキアスはこの状況が面倒くさいものに感じられてきていた。

 組まれていた手がほどかれて、その指が机をこつこつと叩く。リズムは一定なのにどうしてか何かを急かすように聞こえる。どちらも表情は崩していない。


「ガキ、名前は」


「ニキアス。あんたは?」


「ロテール・ヴァン・サザーランド。ナナハラ一家の幹部だ」


「幹部? あんたみたいのが他にもいるの?」


「俺はお前を本部に連れて行くつもりだが、お前はどうする?」


 ニキアスの質問をまるで聞こえなかったように無視をして、ロテールは一方的に通知した。それに文句を言えないのは立場としての力関係がはっきりしているからだ。気分のいいとはいえないちょっかいをかけたのはニキアスで、それに苦情申し立てをしているのはロテールおよびナナハラ一家だ。常識的に考えればニキアスが取れる行動は謝罪の一手だったし、ある程度の要求は呑むべきだった。しかし彼は虫の居所が悪かったのか、悪気なくこう返した。


「それなら暴れるかな。そっち行ってもいいことなさそうだし」


「困んだよなあ、それ。得がねえし周囲に被害が出るしよ」


「俺もあんまりしたくないけどね。あんた相手だと無傷は無理に見える」


「……まあいい、挑発も見逃してやる。ただ次はアウトだ。警告なしで殺す」


 ふと出たシンプルな言葉は奇妙に重かった。シンプルなだけに余計な手続きなしに行動に直結することがよくわかる。個人で相手取るには少し武闘派に過ぎるギルドであるらしい。

 ぎりぎりのところで問題を起こさずに済んだニキアスは、大きく息をついた。ついさっき頼んだばかりのはずのコーヒーはすっかり温度を失って、香りもどこかへ行ってしまっていた。人を相手にする戦いは多岐にわたるせいで本当に疲れる。命のやり取りだけで済む動物相手のほうが純粋で、いっそラクだと偏ったことをニキアスは考えていた。


「なあ、視点を変えよう、余計なことを考えないで済む提案があるんだが」


「え? いま見逃してもらって終わりじゃなかったの?」


「うちに入るのはどうだ、まだどこにも入ってないんだろ?」


「あんたからの印象は悪いはずだし、誘う理由ないと思うんだけど」


「気配の消し方見てりゃデキるやつだってのはすぐわかる。むしろ誘わない手はないと思うがね」


 ロテールの言っていることが嘘でないと察するのは難しいことではなかった。仮に組織に所属しているとしたら有用な人物はいつだって欲しいだろう。それはニキアスにだって簡単に想像がついた。その求められる人物に自身が当てはまるかどうかということはニキアスにとって疑問にはならなかった。そう声をかけられているのだからそこを疑ったところで始まらない。問題はどう断るか、だ。

 言葉を急かさないところを見るに、どうやら考える余地はくれるらしい。とはいえ大事になるのはその先だ。断ることを許さない姿勢であればひと悶着あること間違いなしだ。


「断りたいのが正直なところ。ほら、新人ってだけで大変なこと多いでしょ」


 バオから聞いた雑な知識を混ぜて本音を話す。具体的にどう大変なのかはニキアスにはわかっていないし、それが理由になるほどのものなのかさえ不分明だ。とにかくここは断る一手だ。バオの計画から考えたら、ここで大きなギルドに加入するのはおそらく最悪の選択と考えられる。

 ロテールは返ってきた答えをゆっくり呑み込んでいるようだった。いちど個人的な見解を出して、そのうえで他の見地からの解釈がないかを確かめているような間だった。時間の支配の仕方はロテールのほうがよくわかっているようだった。


「……まあそれじゃあしょうがねえか、暴れられても面倒だしな」


「謝るのも変な気がするけど、ごめんね。まだこの街のことよく知らないし、そういうのが全部済んでから検討するよ」


「いま聞いたのは忘れていい。が、さっきの話は忘れるな」


「わかったって。もうしません、これでいい?」


 ニキアスは両手を上げて返事をした。言葉は軽いが完全に降参のしるしだった。


「それでいい」


「ところでさ、よそのギルドの幹部にもあんたみたいのいるの?」


「さあな、いるんじゃねえか。大人数をまとめるにゃどっかでそういうのも必要だ」


 出会いから考えれば驚くほど穏やかにふたりの対話は終わった。肌が実際に震えるほどのびりびりした空気から、質問をして波が起きることもなく答えてもらえるような雰囲気に変わるとは呑気な思考回路のニキアスでさえ思っていなかった。悪く運べば剣を抜くことさえ視野に入っていたくらいだ。ロテールの立ち去ったテーブルで、ニキアスは精神的疲労を絞り出すようにため息をついた。そうしてからコーヒーを口に運んだ。やはり苦かった。

 今しがたの一連の出来事を整理して、収穫を確認しようと彼は考えた。まずは自身の俯瞰能力の低さ。周囲の人に比べて異様に気配を消せば、察知できる人間にとってみれば逆に目立つのは当たり前だが、言われてみるまで気が付かなかった。そして自分が逆に見られていたことに気付けなかったこと。これらは大きな反省点である。そしてそれを利用できる域にいる人間がいること。これも大きな事実だ。今後なにか事にあたる際にはわずかにも気が抜けない。これを知ることができただけでも収穫と言っていいほどだ。

 総じて今日の行動は失敗だが実りはあった。また別のギルドを、それも会議に参加する程度には有力なギルドを探さなければならないが、それはあまり難しい問題ではないだろう。全部がそうとは限らないが、有力なら有名で目立つ。その程度であればどこでだって情報は入る。結果に反してニキアスの足取りは軽かった。


 できるだけ夕食はバオといっしょに、というのがルールだった。一日の成果の報告や、それ以外の有用な情報を交換する目的もある。それにこれから組んでやっていく予定なのだから、出会ってから浅いふたりはコミュニケーションを取っておいて損はない。

 バオはまだ標的を絞る段階らしく、候補が三つ四つあるのだという。ニキアスはそれを聞いて自分が焦り過ぎていたのかもしれない、ともういちど反省した。たしかにわかりやすいからといって街の代表クラスのギルドという難関を選ぶ必要はなかったのかもしれない。しかしそれは過ぎたことなので、それはそれとしてニキアスは今日の経緯をバオに話した。彼が食事が終わったあとでなんだか不機嫌だったのは、監視に失敗した顛末をバオが聞いて爆笑したからであった。


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