第18話 ドキドキ王都旅行!!

長く続いた雨が止んでから10日経ち、雨漏りや川の氾濫などで被害を受けたブロント領も元通り・・・

とまでは行かないがかなり落ち着いて来たらしく、朝食の席で久しぶりに父様とライ兄と顔を合わせた。



多くの被害があったブロント領だが、幸いと言うべきか死者、行方不明者などは出ていなかったらしい。



それはよかったけどブロント領は海に面している為漁業が盛んだった。その為今回の豪雨で港が荒れてしまい、修理などにもお金がかかり被害額で言うととんでもない価格になるらしい。改めて豪雨から出る被害の大きさを思い知らされた。




「今回の大雨は本当に、本当に大変だったよ、」

「ああ、四六時中走り回らせられた。」

「お・・・お疲れ様です。」




帰って来ていた二人はかなりやつれていて見るだけでその苦労が分かるようだった。

ライ兄かなり体力はある方だと思っていたのにこのやつれ様。過酷なその現場を想像するだけで怖い。




「そういえばアリス、今回の豪雨の被害報告をしに王都に向かうんだけど、アリスも来ない?」

「王都・・・ですか?」




王都と言うと首都の様なものだろうか。首都というと東京をイメージしてしまうがこのファンタジー系異世界であんなビルが立ち並んでは居ないだろう。せっかく異世界にいるのだから色んなところを見て回りたい。興味をそそられるお誘いに私は頷いた。




「ところでいつ頃ですか?」

「・・・明日からだった筈」

「ん?」

「明日」




私が聞き間違えだと思うのも無理は無いと思う。今日伝えられて明日にはすぐに出発・・・

もっと早くに教えて欲しかった。何を持っていくか頭の中でピックアップしているとライ兄がいきなり席を立った。




「俺もだよな?」

「いや、ライには領主代理をやって貰うから留守番を頼む。」

「父さんだってずっと一緒に居れるわけじゃないから俺も一緒に行った方が・・・」

「ルカ君も居るしね、ライは留守番。」




交渉の余地なしとライ兄の希望を断ち切る父様は柔らかい笑みを浮かべていてどこと無い強者感を感じた。

ライ兄はかなり凹んでいる様でそこまで王都に行きたかったのかと少しだけ同情してしまう。




「ライ兄様!しっかりお土産とお土産話持って帰って来ますから!」

「・・・」




私がライ兄の元気を出そうと明るくいうとライ兄は何も言わずに俯いた。




「・・・父さん、父さんとルカだけでこれをなんとか出来る様にに頑張れ。」




そうライ兄が言うとルカと父様が揃って苦笑いをした。



なんとかとはどう言う事なのか分からないが何となくいい意味じゃない気がしたが一旦その事は放棄する事にした私はまた持ち物のピックアップをしながら朝食のふわふわパンを齧った。

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