第5話 初めてのお泊まり!
やらかした・・・
私は藁の上で一人冷や汗をかいていた。
というのも私が藁の上で熟睡してしまい、目が覚めた時は外が真っ暗になっていたのだ。
この部屋は時計が無いためわからないが多分8時は過ぎているだろう。
そういえば邸から出発する時父様からこんな事を言われた。
「アリス、ライデルから離れない。知らない人についていかない、飴をあげるとか言われてもだからね。あと暗くなる前に帰る事!間違っても馬小屋にあった藁の上で寝ちゃったりしたらダメだからね?」
その時は5歳児にいうことかな?と思ったが、しっかり最後のは当たってた。
でも藁の上で寝る事まで当てるとは父様占い師かな?
とにかくどうにかしなければと考えこんで居ると不意に部屋の扉が開いた。
「お、アリスやっと起きたか。」
「ライ兄様どうしましょう・・・」
私は真っ青になりながら兄様に尋ねた。
邸からここまで来るのに辛かったのは距離はもちろんだが、何より途中にあった森だ。
そこは昼間でも薄暗く、恐怖心を煽る雰囲気をしている。
そのため今から邸に帰るとすると森はきっとさらに怖く、真っ暗になっていることだろう。
お化け屋敷で入って3秒で逃げ出す私などが入ったらショック死しかねない。
二度目の人生10歳でショック死して終わるなんて悲しすぎる。
「じゃあ仕方ないし今日はここに泊まるか。」
「えっ・・・!」
兄の一言で私の気分は最底から最高まで跳ね上がった。
私は実を言うとお泊まりは初だ。
前世は修学旅行、宿泊学習の時はなぜか体調不良になると言う謎体質のせいで一度も無かったから、
初めてのお泊まりに現在私のテンションは最高潮まで来ている。
ここは馬小屋と言っても何部屋もある小屋が付いてあり、お泊まりには申し分のない所だ。
「じゃあライ兄様、私この藁ベッドで寝てもいいですか⁈」
「アリスがそこがいいならそれでいいが・・・いつもみたいなふかふかベッドじゃなくていいのか?」
「ここがいいんです!」
藁ベッドをすっかり気に入った私は再び藁ベッドに飛び込んだ。
いつものようなふかふかベッドも好きだが、藁ベッドならではの味が好きになってしまったのだ。
「・・・こいつだいぶ変わってるな・・・」
兄がそんな私を見ながら少し呆れ顔になっているのに気がついた私は兄の腕を強引に引っ張った。
「あり・・・ちょ、何す・・・」
ボフンとライ兄が私の隣に倒れ込む。
「兄様!ライ兄様も藁ベッドを使えば良さがわかる・・・」
言い終わる前に私は横に倒れているライ兄を見て言うのが止まった。
それもそのはず兄が真っ赤な顔をしてこっちを見ていたからだ。
するとライ兄はすっと私の上に覆い被さる場所に移動した。
「アリス・・・」
ライ兄がご乱心です。ヤバい。
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