第3話 幸せで平和な生活
チュンチュン・・・
小鳥達の囀りと少しだけ登った太陽が朝を知らせる。
「ふぁ・・・」
私が異世界転生してから3日経った。
その間にライ兄とはかなり親しくなった。(扱いが雑な気がしなくもないが)
きっと元々相性が良かったのだろう。ライ兄と話していても緊張する事は無くなり、
ライ兄の話は私の知らない事ばかりなのでとても面白く一緒に過ごす時間はとても幸せな時間だ。
ちなみに父親ともしっかり会い、凄く人柄がよく、いい人だなと思った。
でも記憶のない娘に抱きついてお菓子を買ってもらえない5歳児の如くギャン泣きされたのは大変だった。
そこにいた使用人総動員で私から剥がしてもらいました。使用人の皆さん、お疲れ様です。
でも次の日には優しい普通のお父様になっていました。
兄、父、私の3人で暮らしていると聞いた時私は不躾にも「お母様は?」と聞いてしまい、
父いわく生きてはいる。・・・らしい。複雑な関係なのかもしれない。
そして昨日初めて今世の私、アリステアの容姿を鏡で見てみたのだが、かなり可愛かった。
髪はふわふわしていてウェーブがかった長めのプラチナブロンド色で、瞳はキラキラとしている淡めの緑色だ。
全体的に色素が薄く儚げな印象を受けるが、中身はこれなので見た目詐欺かもしれない。
「えっと今日の服は~・・・」
ちなみに服に関しては初めは私が選んでいたが、あまりのセンスのなさにライ兄、その他使用人の皆さんから呆れられ、服はライ兄、お父様、使用人の誰かから選んでもらう事になりました。
今日はというと真っ白いノースリーブのワンピースで、飾りは付いていず、シンプルだがとても可愛い。
これはライ兄チョイスです。「あえて飾りを付けずお前自身を引き立たせる様な奴を選んだ。」との事。
そして私はチャチャッと着替え、自分の部屋を出て、ダイニングルームに向かう。
それにしてもここの廊下は長すぎる。というか屋敷全体が大きい。
辺境だから土地代が安い・・・とかあるのかもしれない。
「おはようございます。」
「あっ、おはようございます、お嬢様。」
使用人の人に挨拶する。当然のように返してくれるが、
記憶喪失のお嬢様という対応の仕方のわからない存在の為かその返事は少しぎこちなく感じる。
私的にはもっと気楽に接して欲しいけれどどうしても意識してしまうのだろう。
時が解決してくれるのを待つしかない。
そんなこんなの間に到着し、もうすでに父様とライ兄は席についていた。
私も急いで座ると「いただきます」と言って食べ始める。
こういう前世との共通点を見つけると少しだけ懐かしく、寂しい気持ちになる。
まだ3日しか経っていないのに早すぎるホームシックだ。
「アリス、髪跳ねまくってるぞ。」
「ええっ!どこですか?」
「後で俺が直してやるからお前はいじるなよ?」
「なんでです?」
「不器用過ぎて余計跳ねるだろうからな。」
「ライ兄様酷くないですか⁈」
ふと父様を見ると俯いてプルプルと震えていた。私とライ兄の言い合いを聞いて笑うのを堪えてるようだ。
ライ兄との会話は誰が聞いても普通の兄妹だと感じるだろう。
この和やかな空気は幸せ家族そのものだ。
いつまでもこの生活が続いて欲しい。私はそう一人静かに祈ったのだった。
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