第247話 まさかの再会、からの……


 「え、お、オイ、力石? ホントに力石なのか!?」


 「渡世君もいる!」


 「え、し、白銀さん!?」


 まさかのクラスメイト達との再会に、春風だけでなく鉄雄や恵樹、美羽達までも驚いていた。


 そんな様子の彼らを見て、


 「あ、あのぉ。あの人達は、どちら様、ですか?」


 と、側にいたルーシーが恐る恐る尋ねた。


 その声にハッとなった恵樹が答える。


 「あ、ああ、あの3人は俺達と同じ異世界の勇者だよ。真ん中の熱血漢系のイケメン君が力石りきいし煌良あきら君で、右隣にいるちょっとぽっちゃりした男の子が渡世わたせまなぶ君。そして反対側にいるショートヘアの気の強そうな女の子が、白銀しろがね麗生れいなさん」


 「はぁ、そうですか」


 恵樹の説明を聞いたルーシーがそう納得する中、春風が目の前にいる3人のうちの1人、力石煌良に尋ねる。


 「どうして、力石君達がここに?」


 尋ねられた力石煌良ーー以下、煌良が答える。


 「お前と桜庭の決闘を見た」


 そう言った煌良に続くように、渡世学ーー以下学と、白銀麗生ーー以下麗生も答える。


 「うん。アレはとても凄まじかったよ」


 「ああ。私もそう思っている」


 それを聞いて、春風は「へ、へぇ」と頬を引き攣らせながら言うと、


 「そうだ。そしてあれを見た時から……」


 そう言うと、煌良は背中に手を伸ばして、そこからスッと長い棒状の何かを抜いた。


 それは、長めの穂先を持つ槍ーー否、矛と呼べばいいだろうか。ともかく、煌良はその矛の先を春風に向けると、


 「お前と戦いたい。そう思ったんだ」


 と、真っ直ぐ春風を見てそう言い放った。


 それを見た鉄雄は驚いて、


 「ちょ、オイ! 何してんだ力石!?」


 と、煌良を問い詰めた。


 さらに、


 「よいしょっと!」


 「……」


 と、学と麗生の2人も、それぞれ自身の武器を構えた。因みに、学は大きな円型の盾で、麗生は小型の弓だ。


 それを見て恵樹と美羽も、


 「え、渡世君!? 君もなの!?」


 「や、やめてよ白銀さん! どうして!?」


 と、驚いて2人を問い詰めた。


 それに対して、学と麗生は、


 「ごめんねみんな、煌良はこうなると止まらないから」


 「ああ、すまないな」


 と、全然悪びれる様子もなくそう返した。


 それを見たリアナはムカっとなったのか、


 「ちょっと、あいつら一体何なの!?」


 と、鉄雄達に問い詰めると、鉄雄は「ハァ」と溜め息を吐いて、


 「あいつら、普段は優等生ぶってるけど、実際は良く言えば武闘派、悪く言えばただ強い奴と戦うのが好きななんだよ」


 と、まるで困った奴を見るような目で煌良達3人を見てそう言った。


 すると、


 「あ、コラ! それは煌良だけだよ!」


 「そうだ! 私と学は至ってまともだ!」


 と、学と麗生は鉄雄に向かって文句を言った。


 だが、


 「まともな奴は一緒になって武器を構えたりしねーよ!」


 と、逆に鉄雄から突っ込みを入れられて、


 「「な、何をぉ!」」


 と、2人はショックを受けた。


 そんな2人を他所に、煌良はチラリとラルフを見ると、


 「そう言うわけです、ラルフ先生。コイツの相手は俺達がしますので、先生は倒れている騎士達をお願いします」


 と、ラルフを「先生」と呼んで、騎士達と下がるようにお願いした。


 ラルフはそれを聞いて、


 「良いのか?」


 と尋ねると、3人はコクリと頷いたので、


 「……わかった」


 と言って、ラルフは動けない騎士達を抱えて未だ起き上がれずにいるモーゼスと配下の信者達の近くに寄った。


 煌良はそれを確認すると、春風の方向いて、


 「さぁ幸村、お前も武器を、その腰の刀を構えろ。そして、本気で来い」


 と言い放った。学と麗生もやる気のようだ。


 「……それ、マジで言ってるの?」


 春風は目を細めてそう尋ねたが、煌良達は答えない。


 しかし、本気だというのは伝わってきたので、


 「……」


 春風は無言で彼岸花を鞘から抜き構えた。


 その時、


 「ちょっと待った!」


 『!』


 突然の「待った」に春風達は驚いて声がした方を見ると、その先には水音がいた。


 水音は隣のセレスティアを見て尋ねる。


 「セレスティア様、良いですか?」


 「ああ、行ってこい!」


 そう即答したセレスティアを見て、水音は「はい!」と返事をすると、春風の隣に駆け寄って、腰の剣、ガッツを抜いた。


 それに続くように、


 「私もいるよ」


 と、なんと歩夢も水音と同じように春風の隣に駆け寄って、自身の武器である薙刀を構えた。


 春風は2人に、


 「2人共、良いの?」


 と尋ねると、


 「「勿論!」」


 と、2人同時に親指を立ててそう返した。


 春風はそれを見て、


 「ありがとう」


 と小さくお礼を言うと、


 「それじゃあ、いきますか!」


 と、煌良達を真っ直ぐ見て、彼岸花を構え直した。

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