第3話 告げられたのは、最悪の事態
自らを「神」と名乗る男女の突っ込みから暫くして、最初に口を開いたのは、「アマテラス」こと「天照大神」と名乗った女性だった。
「いやー、まさか髪型を褒められるとは思わなかったわー」
その言葉に続く様に、「ゼウス」、「オーディン」と名乗った2人の男性も口を開いた。
「だよな。俺達の服装には何のコメントも無かったのにな」
「そうだね。僕達が言うのもなんだけど、『神様』ともあろう者が
すると、春風は真面目な表情で答えた。
「ああ、服装についてでしたら、普通に似合ってると思いましたので、何も言いませんでした」
「「「いや、『何も言いませんでした』って……」」」
「あと、俺、生まれて初めて『神様』というものを初めて見ましたので、ちょっと反応に困ってしまいました」
「「「そんな
春風の発言に突っ込みを入れる3人……否、3柱の神々だが、このままでは話が進まないと感じたオーディンは、何処からか1冊の本を取り出し、パラパラと捲った。そして、とあるページで手を止めると、そこに書かれているモノを声を出して読んだ。
「幸村春風。本名、
すると次の瞬間、
「もう良いですわかりました! 皆さんの事を信じます! 疑ったりして申し訳ありませんでした!」
どうやら、オーディンが読んでいたのは春風自身の
そんな春風を見て、オーディンは「ウンウン」と頷くと、パタンと本を閉じて、また何処かへとしまった。
その後、気まずい空気が場を包み、これはいかんと思ったアマテラスは、
「そ、それじゃあ真面目な話をしよっかぁ!」
と、強引に話を進めた。
気まずい空気が消えたのを感じた後、アマテラスは未だに土下座している春風に話しかけた。
「あー春風君、全てを思い出したばかりでなんだけど、体の方は大丈夫かな? 気分とか悪くないかな?」
その質問に答える為に、春風は頭を上げながらスッと立ち上がった。
「はい、大丈夫です。何処も異常は無いと思います。アマテラス様……でよろしいでしょうか?」
「ええ。さっきも言ったけど、私の事は『アマテラス』って呼んでね」
「わかりました。その、声でわかったのですが、教室で俺を助けてくださった方……ですよね?」
「ええ、そうよ。私とゼウスとオーディンで、君をあの『光』から引っ張り上げたて、この空間に連れてきたの」
「あの、ここって一体何処なんですか?」
「ここは世界から隔離された特殊な空間でね、本当は私達神が住む『神界』に連れてきたかったんだけど、今ちょっと緊急事態でゴタゴタしちゃってて、急遽こっちに変更したっていうわけなんだ」
「そうだったのですか……と、遅くなりましたが、助けてくださってありがとうございました」
そう言うと、春風はアマテラス達に深々と頭を下げた。
しかし、アマテラス達は、何処か申し訳なさそうな表情で、
「いいえ、私達はお礼を言われる様な事をしていないわ」
「ああ、あの時助けることが出来たのは、お前1人だけだったしな」
「うん、残念だけど、他の人達は無理だったよ」
と言うと、今度はアマテラス達が春風に「ごめんなさい」と言わんばかりに深々と頭を下げた。
「そ、そんな……」
ショックを受けた春風だが、すぐに冷静になってアマテラス達に質問した。
「あの、一体俺達に何が起きたのですか?」
その質問に答えたのは、アマテラスだった。
「春風君、君は『異世界召喚』というものを知っているかな?」
「え? ええ、そのての漫画は読んでいますので、知ってますが……」
一瞬キョトンとなりながらもどうにか答えた春風に、今度はゼウスが口を開いた。
「実はな……『異世界召喚』は現実に存在している」
「……へ?」
「そしてその『異世界召喚』によって、お前の担任教師とクラスメイト達は、『エルード』っていう世界に召喚されちまったんだ」
「……マジですか?」
「ああ、マジだ」
ゼウスのその言葉に、春風が呆然とした状態で固まっている中で、さらにオーディンが続いた。
「そして、ここからが大事な所だから、落ち着いて聞いてほしい」
ゴクリと固唾を飲んだ春風に、意を決したオーディンが口を開いた。
「実は、その『エルード』という世界に住む連中が行った『異世界召喚』によって……地球が
真剣な表情のオーディンの言葉に、少しの間固まった春風は、
「……はあ、はい?」
と、何とも間抜けそうな返事をするのだった。
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