第4話 ルール無視の異世界召喚
(一体、この人(?)達は何を言ってるんだ?)
春風は目の前にいる神々の言葉が、全く理解出来なかった。
そんな様子の春風を見て心配になったアマテラスは、
「おーい、春風くーん」
と、恐る恐る声をかけた。
声をかけられてハッとなった春風は、次の瞬間、
「ど、どういう事ですか!? 一体どうしてそんな事になったんですか!?」
と、アマテラスの両肩を掴んでユッサユッサと揺すった。
それを見たゼウスとオーディンは、
「お、おい春風!」
「落ち着くんだ春風君!」
と言って、すぐに春風をアマテラスから引き剥がした。
春風は暫く興奮していたが、段々と落ち着いてきて、
「す、すみませんアマテラス様」
と、アマテラスに謝罪した。
「いいよ。受け入れられない気持ちは私達も一緒だから、気にしないでね」
そんな春風の謝罪を、アマテラスはニコリと笑って受け入れた。
春風はゆっくりと深呼吸すると、アマテラス達に質問した。
「あの、『エルード』という世界に住む人達の『異世界召喚』の所為で地球が消滅って、一体どうしてその様な事になってしまったのですか?」
その質問に答えたのは、オーディンだった。
「それは、彼等が『ルール違反』をしたからなんだ」
「ルール違反……ですか?」
すると、今度はゼウスが答えた。
「ああ。実は『異世界召喚』を実行するにはな、絶対に守らなきゃなれねぇ『ルール』があるんだ」
「そんなのがあるのですか!?」
「あるんだよ。そしてそいつを破っちまうと、その罰としてその世界には消えてもらう事になるんだわ」
淡々と答えたゼウスに春風はショックを受けたが、すぐに気持ちを切り替えて質問した。
「その『ルール』とは、どの様なものなのですか?」
その質問に対して、最後にアマテラスが答えた。
「まず1つ目は、召喚者側は召喚の儀式を行う者として、神官、巫女、その他神職を1人用意する事。それも、私達『神』と直接対話できる程の資質と実力の持ち主じゃないとダメよ」
「え、魔術師や魔法使いじゃダメなんですか?」
「召喚の儀式自体は、その人の魔力だけじゃなく『神』の力も必要になるから、今言った人間以外が行うとその力に耐えきれずに死ぬか廃人になるか、最悪の場合は世界そのものに悪い影響を及ぼしてしまうの」
「怖いですね……って、『1人用意する』って事は、もしかして召喚の儀式もその人が1人でやらなきゃダメなんですか?」
「勿論、別の世界から召喚するのは原則として1人だけだからね。だから、召喚者側も1回の召喚につき1人だけなの」
「そ、そうだったんですか……」
「で、2つ目は、召喚者側は召喚を行う前に、必ず『動機』と『対価』を用意し、それを『神』に捧げて、召喚する『許し』を得なければいけないの」
「『動機』と『対価』ですか。『動機』はわかりましたが、『対価』って、召喚者の魔力じゃダメなんですか?」
「他の世界の『
「マジですか。じゃあ、まさか誰かを生贄にするんですか?」
「は? その世界を救ってほしくて召喚を行うのに、その世界の『
「ちょっと! それ、全国の生贄文化を残す地域に住んでる人が聞いたら、間違いなくショックを受けますよ!?」
「まぁ、それはこの際置いといて。そして3つ目は、召喚者は『神』に『動機』と『対価』を捧げて許しを得た後、その『神』と一緒に召喚される側の世界の『神』と話し合って、そっちの方の『許し』も得なければいけないの」
「そうか、他の世界から召喚するんですから、その世界の『神』にも話をしないといけないというわけですね?」
「ええ、そうよ。で、今言ったのが異世界召喚を行う為の『ルール』なんだけど、今回の召喚で『エルード』側が守った『ルール』は……
「ゼ、ゼロォ!?」
「そう、完全にルール無視してるの。今回の召喚に使われた術式を調べてみたけど、明らかに神職以外の人間、それも複数によるものだったし、『神』の力も僅かしか込められてないし、おまけに『動機』も聞いてないし『対価』も貰ってないし私達の許しもない。もう最低最悪だわ」
そう言われて、春風は一瞬よろけそうになったが、ふと、とある「疑問」が浮かんだので、どうにか踏ん張り、その浮かんだ「疑問」についてアマテラス達に質問した。
「ちょっと待ってください。その『エルード』って世界の人達がルールを無視した事はわかりましたけど、それでどうして地球が消滅する事になってしまったのですか?」
その質問に、アマテラスは答えた。
「あぁごめん、ちょっと説明が足りなかったわね。今回の『ルール』を無視した異世界召喚によって、『エルード』って世界の消滅は決定されたけど……」
「けど?」
「その『エルード』って世界の消滅に、
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