第八話

 「やりい!」


 「森だ!!」


 「一気に風の刃で樹を切って薪にしようぜ」


 そう言ってロインは風の刃の呪文で樹を切り倒す。


 そして切った樹をさらに細かくする。


 「下手するとここから先もう森がないかもしれない」


 「ああ」


 「これでとりあえず無一文にはならないな」


 そう言って薪を馬に載せた。


 たどり着いたのはカサタ村。


 酋長に会いに行く。


 「ベルダーシュから教わる物は当分無い。明日にはこの村を出てってくれ」


 「酋長、なぜです?」


 「とにかく、明日には出ていけ!」


 「……」


 こうして二人は酋長の家を出た。


 薪を売ってベルダーシュの家がどこかを尋ねた。


 「あそこだ」


 そっけない返事だった。


 そしてベルダーシュの家に来た。


 歳は二十歳を過ぎているだろうか。女→男のベルダーシュであった。壁に飾ってある仮面は蒼鬼の仮面だった。女→男のベルダーシュは男になりきれていない人が多いのか服装以外まんま女性だ……。


 「あなたたちは……」


 「ちょっといい? 耳貸して」


 「やはり」


 「そうなの」


 「闇のベルダーシュが……」


 「私はもうお払い箱だわ」


 「私の名前はハル。ハルよ。よろしく」


 「私が酋長の座に就くことを強制してるの」


 「でも、私そんな恐れ多いことできない」


 「ちょうどいい、ベルダーシュが来たのは一年ぶりなの」


 「私も旅に参加していい?」


 「いいけど魔法は何が使えるんだ?」


 「土魔法よ」


 「土……」


 「土と言っても岩にある宝石を見つけて磨いていくことも出来る」


 「はい、採用!」


 「ロイン!!」


 カズヤはあまりのロインの軽率な判断に怒りをあらわにした。


 「だって、そうすればお金に困らないだろう?」


 「飢え死にしたいの?」


 「……」


 「攻撃魔法は石礫よ」


 「地面の石を一気に上げて攻撃したりするの」


 「地震は本当にちょっと揺れるだけだから攻撃にはならないけど、相手の隙を作ることが出来るわ」


 「じゃあ、深夜にここに来るよ」


 ロインは自信たっぷりだ。


 「本当にいいんだね? 引退じゃなくて抜けるのはこの村人から殺されても文句言えないんだぞ」


 カズヤはもう一回確認した。


 「ええ!」

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