第七話

 ロインたちは酋長に頼んだ。


 「いいでしょう。作物を摘んでください」


 こうして農作業を行った。とうもろこしを取る作業であった。


 一日で稼いだ額でどうにか宿屋に行ける。


 「でもこれじゃ宿代のためだけにここにずっと留まってしまうよ」


 「どうしよう……」


 「この先、草原どころか砂漠、そしてロッキー山脈だ」


 そう、ますます森林地帯がなくなっていく。


 そんな時二人宿屋直結の食堂で妙な話を聞いた。ジュース片手に話をしている。俺たちネイティブアメリカンに飲酒の習慣はほとんどない。


 ――ロッキーに居る闇のベルダーシュ教団の話を聞いたか


 ――ああ、この先の村々で暗躍してるとか


 ――酋長を傀儡くぐつにして実質村々を支配している


 ――ベルダーシュによるベルダーシュのための国家建設を目指すのだとか


 ――俺たちは気ままな部族生活なんだ。本当厄介な連中だぜ


 ――もっと武力を強化して対抗しないと中からやられるぞ


 「ロイン、聞いたか?」


 「うん」


 「この先、どうも敵の根城らしいな」


 「闇のベルダーシュ……」


 「村に行っても闇のベルダーシュにやられる可能性も、俺たちが取り込まれる可能性もあるわけだ」


 「もしかして……復讐かも」


 「『ラディア』に対抗するべくベルダーシュたちが結束しているのかも」


 「俺はそんな世界嫌だ」


 「俺は今まで通り気ままな部族社会で生きたい」


 「同感」


 「気を付けよう」


 「お金の工面くめんと、闇のベルダーシュ対策か」


 「これは宿賃以上の価値がある情報だぜ」

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