第二話

 二人は試練の洞窟にたどり着く。洞窟に入ると巨大な蝙蝠こうもり蜘蛛くもが襲い掛かる。つばめよりも一回り大きい。ロングテールと呼ばれる種の蝙蝠だ。


 ――ぐえっ! ぐえっ!


 ――ぎいっ! ぎいっ


 体の半分が尾となる蝙蝠はロインに向かって尿を振りかける。甘く見てはいけない。これは強毒の尿なのだ。


 「うぎゃああ!!」


 ロインは焼けただれた。このままでは死ぬ……。


 「お前は何やってるんだ!! 尿ぐらいよけろ!」


 そういうとザイロは回復魔法を唱える。


 「ありがとう」


 「行くぞ」


 巨大蜘蛛は超音波や糸で攻撃して来る。なんとこの糸も強酸であった。


 「うげええええ!」


 「だから!お前は何やってるんだ!!」


 「業火の術!!」


 そういって巨大蜘蛛を業火でほうむるると回復魔法をロインに唱えた。


 「行くぞ」


 しかしすぐ歩くとロインは落とし穴に落ちた。

 

 もう助ける事すら無言になった。ザイロは擦り傷だらけのロインに回復魔法を唱えた。


 そして二人は祭壇の場所までやってきた。


 ザイロが石で出来た扉を閉め、扉の前に立つ。ロインが逃げないようにするためだ。


 「これから、お前を監視する」


 やがて二人に呼び掛ける声が響く。


 ――その子はベルダーシュになりたいというのだな


 「はい」


 ザイロが答える。


 ――その子はたしかにベルダーシュになる資格がある


 ――だが、ベルダーシュになるということは己の性を捨てるという事


 ――出来るか?


 「はい」


 ロインに迷いはなかった。みじめな生活とおさらばしたかった。


 ――ではそなたに力を送り込もうぞ


 すると声がする方角から突如光の珠が生まれ光の矢が次々突き刺さる!


 矢が突き刺さるたびにロインの力がどんどんみなぎる!


 光の矢がなくなったかと思うと光の珠が消えていた。


 ――魔法を唱えてみろ


 ロインは言われた通り魔法を唱えると小火の魔法を唱えることが出来た。


 「すごい」


 ――今日からお前はベルダーシュだ


 「試練に合格したようだな」


 ザイロは石の扉を開けた。


 「たしかに見届けた」


 「帰るぞ」


 「はい!!」


 帰りもザイロの高等魔術で次々敵を葬る。


 ――俺にこんな魔術が使えるんだろうか


 ロインは不安になってきた。


 「何ぼーっとしている。村に帰るぞ」


 二人は洞窟を出て村に帰った。


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【注】


※1:ロングテールは主にメキシコから北米に生息する蝙蝠である

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