6 ランジェリーショップ3
「な、なんで小鳥遊まで…!?」
試着室に続いて後ろから入ってきた小鳥遊に驚く蒼。
「んふー♪これだけいっぱい種類あるんだから私が手伝います!♪」
「いや、流石にそこまでは…裸になるんだし…」
目を泳がせてどうこの場を切り抜けようかあたふたする。
「大丈夫っ。裸までは見ないから…!」
「小鳥遊…鼻息が荒い…」
中からうっすら聞こえる会話でなんとなく状況は見える。
「ま、まぁ涼真じゃないからまだいい…か…」
(諦めたな…)
俺は心の中で蒼に同情した。
「いいね~似合ってる♪ほら、来生くんにも見てもらおうよ」
「え!?いや、それはちょっと……!」
いいぞ小鳥遊!、今日初めてお前を褒めたくなった。
「いいからほらほら…♪」
「うぅ…涼真、いる?」
「ん、いるぞ」
「ちょ、ちょっと見てもらいたいんだけど…」
「か↑、かまわないぞ…?↑」
思わず声が上ずってしまった。恥ずかしい。
俺の返事を確認すると蒼はスッとカーテンを開けて俺にその姿を披露してくれた。
「お、おおぉぉ…」
エロさと清廉さが同居しているデザインに蒼の可愛さが見事に合っている。
バランスとしては絶妙だ。
大きな胸もキレイにブラジャーに収まりその双丘をレースをあしらったフリルが可愛く彩っている。
「へ、へんかな…?」
うつむきながらも目線はこっちに向けている。自信なさげといった感じだ。
「あ↑、安心しろ…めちゃくちゃ似合ってる↑…」
「声上ずってるじゃんか…」
「いや、すまん…お前がキレイすぎて語彙力がなくなってる…」
「…っ////」
恥ずかしさと嬉しさとも言えないなんとも愛くるしい表情を浮かべる蒼。
涼真を正面から見ることができず視線を横に流す。それがまたエロい。
「言ったでしょ?似合うって♪さぁさ!次はこれ!」
「「!」」
二人して思わずギョッとしてしまった。
ボディラインを補完する布地だけであとはほとんど透け透けのネグリジェだ。
「こ、これ…ち、乳首と下意外ほぼスケスケ…じゃん…え…これ着るの…」
震える手で持ったネグリジェと小鳥遊を交互に見る蒼。
半泣きだ。
よくやった小鳥遊!
「もちろん♪さー着替えよっか♪」
「りょ、りょうまぁ…」
ウキウキの小鳥遊と助けを求める蒼と一緒に涙目でカーテンの向こうに消えていった。
ここまでくると止めても無駄なようなので天に任せた。
(ごめんな蒼…俺も見たいんだ…)
「え…ちょ、小鳥遊、そこは…ん…」
「ちゃんと胸収めないと形がよく見えないの…ほらほら…」
「は…ぅん…」
聞いたこともない蒼の声に俺はドキドキを抑えられずにいる。
『あぁいう声も出すんだな…////』
「ん…っ、小鳥遊…あとは自分でやるから…」
「だぁめ…せっかくキレイな体してるんだからキレイに着飾らないと」
「ひぁ…っ!」
『一体何ヤってるんだよ…』
心底そう思った。
「さっきのはまだ良かったけどこれは…出る勇気が…」
「こういうのこそ男の子に見てもらわないと日向ちゃんもキレイになれないよ?」
「そ、そういう誘導ズルいって…うぅ」
今までの人生でおそらく一番心臓が高鳴っている。
早く見せろ。
乾いたカーテンの開く音の後にあまりに妖艶すぎる蒼が姿を表した。
「こ、こいつは…!!くっ…!」
恥ずかしくて目線を蒼からズラしたかったがムリだった。
さっきの下着など比較しようがないほど艶やかに蒼を彩っている。
「き…きれいだ…すごく…うん…きれいだ…」
そういうのが精一杯だった。
「そ、そっか…」
俺の目線ですべてを察したのか蒼は羞恥心とも悦びともつかないアンニュイな表情を浮かべそれ以上語ろうとしなかった。
俺達ならではの距離感故に成立するコミュニケーションだ。
「えぇそれだけー?もっとこう…あるでしょ!?」
「もっとって…」
「女の子を喜ばせる言葉ってきれいだけじゃないんだよ?」
「これだけ日向ちゃんが頑張ってネグリジェ着てくれたのに来生くんの感想がそれじゃ日向ちゃんの立場がないよ~」
口をすぼめて不満そうな表情を浮かべている。
というか小鳥遊ってこんなキャラだったか…?
「すっげぇ…え、エロい…俺には刺激が強すぎるよ…」
「っっっ…/////」
蒼はキュっと唇をかみしめてうつむき、恥ずかしさを我慢しようとしている。
「そうそう♪そういうの♪」
いいのかよ。
満足したのか小鳥遊はまた蒼の肩をひっぱり試着室へ戻っていった。
それから1時間くらい試着しただろうか。
蒼は予算もあったので3着ほど下着を買い俺達は店を後にした。
何故か小鳥遊の顔がツヤツヤしていたが理由は分からない。
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