5 ランジェリーショップ2
「やっぱりショッピングモールは色んな店が揃っててすげーよなぁ…蒼の用事でもないとまずこんな場所来ないわ」
「オレだって来ないよ…姉貴が買うならここにあるショップにしとけって言うから…」
「買い物もできて映画も見れるしご飯も食べられてカフェだってあるんだよー、楽しくないわけないよ!」
小鳥遊だけやたら目が輝いている。当初の目的をもう忘れてそうだ。
「ここか…入り口に来ると嫌でも分かるな」
「なんか変な汗出てきた…」
「なんでだよ」
何故か俺より蒼のほうが緊張している。
華やかな下着がショーウインドウに飾られているお店、ランジェリーショップにやってきた。
店の中も様々なデザインや色味の下着が所狭しと飾られている。
「男モノとは大違いだな…女性ってなんかすげーわ…」
「えっへん!」
「なんで小鳥遊が偉そうになるんだよ」
思わずツッコミを入れてしまう。
「ほら蒼、色々見てみようぜ」
「ん、うん…」
まだ若干緊張しながらも周りを見渡しながら選び始める蒼と小鳥遊。
「すげーなこれ…スケスケじゃないか…」
気づけば俺は布面積が少なく局部が半ばシースルーになっている艶やかな黒い下着を手に取っていた。
「ふ~ん…来生くんってそういうの好きなんだ…意外~♪」
「わっ!ちが…っ!」
「別に恥ずかしがらなくていいよ。こういう下着って女の子からすれば男の人に向けて着る物でもあるんだし男の人がいいと思うのはいいデザインって事でしょ?」
「そりゃそうだが…大人だな…小鳥遊…」
急にいつもの頼れる雰囲気に戻った感じだ。
「ん?男がいいと思うってことは…」
「それはもう愛し……ちょっと来生くん!!」
「俺まだ何も言ってないじゃん…!」
勝手に解釈を広げ勝手に盛り上がる小鳥遊。ちょっと可愛い。
「えっと、蒼の方は……」
周りを見渡すと蒼は奥の方で手に取った下着をまじまじと吟味している。
「わぁ…このエメラルドグリーンの下着いいなぁ…フリルも可愛い…リボンも…多い…すごい…」
下着を選ぶ蒼の目はまさに年頃の女の子そのものだった。
「こっちのは…ネグリジェ…?寝る時に着る用かな…うわ…スケてるこれ…!」
「これ着たら…ちょっとは可愛くなれるかな…」
「…試着してみたらいいんじゃないか?」
「うぇっ!?りょ、涼真…!いつから見てたんだ…!?」
「その薄緑っぽい下着を手に取ったあたりから」
「うぅ…恥ずかしい…全部聞かれてたんだ…」
「そうへこむなよ。それ、気に入ったんだろ?試着してみろって」
「…そうだね…」
「日向ちゃん!これも着てみてよ!」
小鳥遊がしこたま下着のセットを抱えて戻ってきた。
まるで着せ替え人形をコーデするかのようなテンションだ。
「小鳥遊、お前よりノリノリだぞ」
「女の子を可愛くするには内側から!下着は大事なのっ」
「わかったわかった」
苦笑しながら答えると蒼は思い出したように店員を呼んだ。
「すみません、試着したいんですけど先にサイズを測ってもらえませんか?」
「はい、かしこまりました。あちらを向いて少し腕をあげてください。はい、結構です」
メジャーを蒼の胸の周りにあてがいサイズを図る。
直後店員さんの顔色が変わった。
「お客様…大きいですね…」
「「「!!!!」」」
「失礼いたしました…!近年では女性のバストサイズは上昇傾向にありますので今お選び頂いている下着は概ね着用可能かと思われます」
「わ、わかりました…じゃあちょっとお借りします」
ゆでダコのように顔を真赤にする蒼。
大丈夫だ蒼、聞いてるこっちも同じくらい恥ずかしいぞ!
「何かございましたらまたお呼びください。サイズ違いもこちらでご用意いたしますので」
そういうと蒼は下着を手に試着室へ入っていった。
何故か続く小鳥遊。
「おい小鳥遊!」
「ん?」
「んじゃないだろ!なんでお前まで…!」
「これだけ数あるんだから手伝わないと選べないし私は同じ女の子だもん」
何故かドヤ顔の小鳥遊。
「ハァ…。わかった。頼むわ」
「はぁ~い♪」
やる気のみなぎった返事をした小鳥遊はそのまま意気揚々と試着室に入っていった
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