4 蒼の変化2
蒼がいない時間は普段どおりのようで何か物足りない感じだった。
「おはよう
ある日の登園後に机でスマホをいじっていた所にポンと可愛い声が飛んできた。
「…ん、
「ほら、蒼くん入院したじゃない?その後どうかなって」
「手術は無事に終わったよ、まだ意識が戻ってないから連絡待ちかな」
「そっか…先生も入院したまでしか教えてくれないしどうなってるのかなって心配で」
「大丈夫。小鳥遊が冷静に処置してくれたおかげで蒼も無事だったんだ。必ず戻ってくるよ」
「…うん。それとね」
「ん?」
意外だな、まだ用があるのかと不思議がっていると続けざまに話し出す。
「来生君、部活には戻る気ないの?」
そう来たか。嫌なことを思い出させられる。
「まぁ今のところは。バスケ部に居た頃先輩と揉めたのは知ってるだろ?」
「揉めたっていうかイジメられてたんでしょ?」
「そう。まぁそれもあるけど、反発しない周りにも嫌気が指してバスケを続ける意味がないって思ってさ」
「それで日向くんと一緒にゲームするようになっちゃったんだ?」
「そうだ…って言いたいがゲームはもともと好きなんだ。やる気が再燃しただけ」
スポーツを捨てたというような文脈に聞こえたので一応の釘を指した。
「なるほど~。そっか…来生君が走ってる時の顔、結構活き活きしてたと思うんだけどな。もったいない」
心底残念そうな心持ちに聞こえる。
「なんだ、随分俺の事見てるじゃん?」
まぁないだろうなと思いつつちょっとイジってみる。
「へ!?しょ!しょしょしょしょんな事はないですよ!?」
なんだ、まんざらでもないのか?俺は内心ちょっとうれしいと思いながらも
「悪い。冗談だよ」
「ホ…ッ」
『わかりやすくて可愛いな小鳥遊は。ほんとにいい子なんだろうな』
素直に俺はそう思った。
「で、戻る気があるなら小鳥遊の部活でも紹介してくれるとか?」
「そうそう!来生君足速いしジャンプ力あるから走り幅跳びとかイケると思うんだよね」
『よ、良くみてんね…』
そこまで把握されてるとちょっと別の疑いをもってしまう。
「なるほどね、まぁ考えとくよ」
「うん!その気になったら私に言ってね。責任もって紹介するから!」
ここまで素直な女子も珍しい。クラスでアイドル的なポジションなのもうなずける。
自分で勝手に納得していると授業開始のチャイムが鳴り響いた。
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