Ignition_3 八百万の神
魑魅魍魎が跳梁跋扈するこの
師となる神への信仰心を厚くし、一つの道を極めようと高みを目指すうちに尖った
それは自分が何者であるかという看板でもある。
だから俺のようにあえて『
しかも何も信じない奴だと、何かを極めるなど到底不可能だと軽視される。
別に否定はしない。
俺はあらゆる現象の
森羅万象の
だが、それは少々複雑で、どこか掴みどころのない話らしい。
そして入り組んだ話はあまり好まれない。
でも俺はあまり人が寄り付かない、その深く静かな場所が好きだ。
だからそこで、糸を織り合わせて自分だけの地図を描くことにした。それはもちろん、この世界の構造図に他ならない。
糸が増えるほどに精細な地図となり、未知なる道にも自然と想像が及ぶ。そしてそれ自体が類似性を読み解き応用する
だから〈
そこに美学がある。
地図を洗練させるべく、できるだけ色々な糸が欲しい。
その想いがいつしか俺を傭兵に仕立て上げた。
ひと処に留まらず、直接利害に関与せず。
世界を渡り歩く生き方は道のりが長く、負荷も大きい。
不思議がられこそすれ、羨まれたことは一度もない。だからといって「何故そうなってしまったのか」と勘ぐるのは、流石に余計なお世話だ。
俺だって、自分の物差しを信じたいけれど。
他者の物差しに引きずられ、自分という存在が揺らぎそうになった時、俺は過去に還ることにしている。
このグラスグリーンの糸は、俺が『草の根調査団』に居た頃に繋がっている。
その糸口を辿れば、神とは別に、俺が師と仰ぐ老ドワーフと過ごした時間が蘇る。
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