第2話
ワインが好きだと言うひまりにあわせて滅多に飲まないワインを飲んで、酔った。
勢いでひまりをダンスに誘う。
ひまりも酔っていて暫くは、抱き合って踊った。
次第に密着度合いが増え、ひまりも身体を押し付けてくる、気付くと、俺の足が彼女の足の間に、彼女の足が俺の足の間に挟まっていた。
彼女の腰に両手を回して力を入れると、彼女は両手を俺の首に回してくる。
鼻と鼻が触れてしまいそうだ。
その部屋にある大きな窓ガラスから都会の夜景が綺麗に見えていて、俺は彼女を踊りながらそこへ誘った。
俺が綺麗だねと耳元でささやくと、彼女もホントしびれるくらい綺麗だわと微笑む。
君も綺麗だ、というとひまりはあなたも素敵よ、と返す。
しばし見つめあって、キスをした。
初めは首筋に、次はおでこに、彼女はくすぐったそうに笑みを浮かべた。
そして鼻先にキスをすると、きゃっと小さく悲鳴をあげて、俺の耳元に唇をつけて、ダメ、そんなことしたら感じちゃうとおどけて見せる。
俺は、じゃあ、と言ってひまりの唇にキスをする。
いやーん、と言った彼女の目は潤んでいた。
「でようか?」と誘うと黙って頷いた。
その夜家に辿り着いたのは日付が替わったあとだった。すわは女の臭いだという。
「当たり前だ、60婆さんの部長と交渉してたら、酒飲みに連れていかれて、危なくホテルに連れ込まれるところだった。飲み過ぎて具合が悪いといって、そこは次回でとごまかして帰って来たんだから」精一杯の嘘をついた。
妻への初めての嘘だった。
俺は、いっぱしの男子になってから、妻が二人目の相手だった。
遊びの経験は全くなかった。
翌日、昼休みに前夜を思い出した。
スリムなスーツに隠されたボリューム。
妻とはまた違う喜びや反応が頭にねっとりとこびりついている。
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