幽霊殺し

闇の烏龍茶

第1話

倉井宗太は平凡なサラリーマン。妻の倉井すわは5歳年下だ。25歳で結婚して10年が経ったが子供はいない。病院へも行ったが、どちらも正常だった。

それだけに休日には遊園地や温泉、ゴルフなど結構仲良く遊んでいる。


すわの両親は早くに亡くなり親戚も無く一人ぽっちだった。だから人懐こく取引先の受付嬢だった彼女とすぐに親しくなれた。目が大きくて可愛く、笑顔が素敵だった。

10年経っても可愛らしさは変わっていない。

 

俺が加茂ひまりと出会ったのは、課長の子分寺健吾(こぶんじ・けんご)とメーカーへ商談で行った時だった。スポーツ用品の卸を業とし、メーカーからいかに安く良いものを仕入れるか俺の手腕にかかっていた。


その交渉相手が加茂ひまりとその上司の高石沢嘉陽(たかいしざわ・よしろう)だった。


午後2時から始めた交渉は難航した。加茂ひまりは自らが提示した価格を頑として曲げようとしなかったのだ。自分らより相手の上司の高石沢の方が、我々に気を使いだすありさまだ。

それでも午後6時、仕入れ数量を予定より大分多くすることで折り合いがついた。

4人でそれぞれ握手をして契約の成立を祝った。

相手の上司高石沢が夕食をと誘う。断る理由はないので居酒屋へ行った。

アルコールが入ってだんだん砕けた話になる。酔うほどに高石沢は子分寺と仕事の話をするようになって、俺は加茂ひまりに話しかけ、2時間後にはすっかり打ち解けて、互いの携帯番号を交換するまでになった。

 

それから、交渉の殆どをひまりと行うことになった。そのたびに色んな飲食店へ行った。こういう時は交際費が使えるので、交互にお金を出して確り領収書をもらった。


ある時、4時に話が終わってしまい、帰社するか迷っていると、ひまりから食事に誘ってきた。

7時には食事を終えたが、まだ時間が早かったので、ひまりが以前上司に連れられて行ったことのある、付けで飲めるバーに行くことになった。

結構広いバーで中央部分では十組ほどがダンスをしている。

チークダンスというより抱きついているだけの、見た目はもっといやらしさに溢れている。

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